数年前に
富士山麓で見上げた夜空には
到底言葉に出来ないほど
夥しい数の星々が
ひしめき合い
瞬き続けていた
それは
わたしがいつも眺めていた星空とは
まるで違っていた
こんなにも神秘的で美しい星空が
果てしなく広がっていることを
それまで知らずにいたことで
余計に心を摑まれ
揺さぶられ
激しく魅せられた一夜だった
あの日から
星空や星座への想いが
大きく変わったことは
言うまでもない
# 星座 (296)
本当は1度ぐらい
あなたと踊ってみたかった
ステップなんて
どうだって良くて
音楽に合わせて
ただユラユラと
左右に揺れているだけでも
いいのに
シャイなあなたが
踊るはずがないからと
わたしは知らんふりして
飲み終えたグラスの氷を
ずっと眺めていた
あの時
勇気を出して
踊りませんか?と
ひとこと言えていたなら
何かが変わっていたのかな…
# 踊りませんか? (295)
あなたに
再び巡り会えるのは
わたしが三途の川を
渡った時
約束通り
迎えに来てくれますよね
もう少し
待たせてしまいそうだけど
必ず
あなたに逢いに行くので
どうぞそれまでは
空の上から
わたしの日々を
見守っていてくださいね
巡り会えたら
真っ先に
待たせたお詫びを
しなくては…
# 巡り会えたら (294)
願わくば
あなたと出逢えた
奇跡をもう一度
きっと また
あなたに
わたしは恋をする
# 奇跡をもう一度 (293)
たそがれどきは
諦めの時
夜の闇が来る前に
戻り道があるうちに
失くしたものを
探すことをやめる時
逢いたい
という言葉を飲み込んで
伸ばしかけた手を
引っ込めて
鳥かごに
あのひとへの想いを
閉じ込める
たそがれどきは
そんな時
# たそがれ (292)