あのひとへの想いを
ひとつ残らず
きれいに束ねて
小包にして
さよならの切手を
貼りました
あとは
想い出という窓口に
届けるだけ
わたしに
残された仕事は
もう
それだけ…
✢
あのひとへの想いを
小包にして
想い出の窓口に
持って行こうとしたけれど
一日目は
心が痛んで動けずに
二日目は
止まない涙雨が
邪魔をして
三日目は
空の青さが哀しくて
一日中ぼんやりと眺め
四日目は
入れ忘れていた想いに
気がついて
五日目は
前の日に解いた小包を
もう一度作るのが嫌になり
そのまま
時は流れ行き
あのひとへの想いは
いまも
わたしの胸のなか
✩小包 (147)
紫陽花が
色付き始めている
ハート形の葉の十薬も
祈るように咲いている
あと半月もすれば
雨の日々がやってくる
わたしは
カタツムリのように
殻に隠れて
雨音の中で
あなたの声だけを
探し続けることだろう
✩ 雨音の中で (146)
その悲しみは
彼の友人から
届けられました
わたしが
最も愛した人の
突然の
逝去の
知らせでした
わたしの人生に
深く
大きく
関わった人でした
誰よりも
誰よりも
好きな人でした
そのかたとの
恋が
終わりました
「完結」です
# 突然の別れ (145)
雨に濡れて
日毎に
色を変えていく
紫陽花のように
あなたの優しさに
触れるたびに
色を増す
恋心は
止めようもなくて
✩ 恋物語 (144)
月明かりもない
真夜中に
あなたとの想い出を
心の奥から
そっと掬い上げる
想い出は
少しも色褪せることなく
きらきらと輝いている
思わず
涙が零れ落ち
涙で濡れた想い出は
さらに輝きを増して
深く刻んだ傷さえも
歪ませながら
照らし出す…
想い出を連れて
夜は
音もなく
更けていく
✩ 真夜中 (143)