ココロが
壊れたときの音は
「ぱりん…」
ちいさな
乾いた音だった
たぶん
きっと
あの時
あの音
✩ 音 (82)
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あなたとの想い出は
数えきれないほど
あるけれど
中には
涙の雨で
ぐしゃぐしゃに
濡れたままの想い出も
青空広がる日があれば
凍てつく寒さに震えた日
小春日和の暖かさに
胸踊らせた日や
ところにより
雨の日もあったりと
心の空模様は
七変化
今となっては
そのどれもが
みな
愛おしい
# ところにより雨 (81)
あなたは来そうで
来なくて
涙は
こぼれ落ちるのを
我慢して
ココロは
針の先よりも
鋭くなる…
優しい気持ちに
なりたくて
空を
見上げてみるけれど
こんな日に限って
今にも降り出しそうな
曇り空
あーした てんきに なぁーれ
# 空 (80)
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「出会えて良かった」
君のその一言が
わたしの
一生の宝物となり
その時から
君が
特別な存在に
なったことに
君は
きっと
気づいていない
# 特別な存在 (79)
あれほど赤く
燃え立っていた炎は
音もなく消えて
灰の中からは
もう
一筋の煙も生まれず
その灰さえも
時の風に吹かれて
儚げに舞い散っている
胸に刻まれた火傷の
突き刺す痛みは
流しすぎた涙の底で
眠り始め
言葉は失われたまま
忘却の砂に
埋もれていく
わたしが
少しずつ
少しずつ
あなたから
遠ざかる
✩ 想い (78)
ふたりでいることが
つらくなり
ひとりぼっちに
戻ろうと
あなたと
サヨナラしたけれど
ふたりで作った
想い出が
キラキラ煌きながら
どこまでもついてきて
ひとりぼっちにも
ふたりぼっちにも
なれなくて
# 二人ぼっち (77)
銀色に輝く
月の舟
今宵の行き先は
あなたの
夢の中
届けものは
わたしの
恋心
夜が明ける
それまでに
あなたが目醒める
それまでに
想いを乗せた
月の舟
ゆらりゆらりと
夜の河を
渡ります
# 夢が醒める前に (76)