憂いを帯びた
下弦の月に
あなたの面影を
重ねてしまうから
月明かりの中
想いのすべては
あなた宛のもの
もしも
願いが届くなら
あなたの心
今宵
一夜だけでも
わたしひとりのもので いて
✩ 下弦の月 (57)
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ひなまつりの思い出は
七段飾りのお雛さまの前での
記念写真
家族みんなのはじける笑顔
美味しい料理を囲んでの団欒
暖かでスィートな時の流れ
雛人形を見る度に
いつも
幸せな気持ちになれるのは
両親の大きな愛情のおかげです
# ひなまつり (56)
弥生 三月 花ざかり
春なのに
春なのに…
そんな書き出しの
手紙を書いたのは
もうずいぶん昔のこと
季節はめぐり
いままた
弥生 三月 花ざかり
あの日の心は
何処を探しても
見つかりません
あれほど狂った春の日は
今となっては
夢物語
時は
ひと粒の忘れ薬です
胸に微かな苦味を残し
いつか優しく眠らせて
人の心の哀しさは
時の流れに勝てぬこと
弥生 三月 花ざかり
春なのに
春なのに…
わたしは
咲くこともできません
狂い咲くことさえできません
弥生 三月 夢見月
過ぎた遠い日 夢見ます
狂った春の日 夢見ます
✩ 弥生 三月 夢見月 (55)
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わたしに
たった1つの希望が
あるとするならば
先に逝ってしまった
あなたとの再会
わたしが逝くまで
待っててと
約束したこと
最後の日に向かって
日々を送っているわたしを
あなたは空の上から
よそ見しないで
見ていて
再会の時まで
もう少しだけ
待ってて
# たった1つの希望 (54)
想イ
セツナク
夢
儚ク
願イ
虚シク
約束
破ㇾ
心
寂シク
欲望
消エ
涙
溢レ
唯
独リ
夜二
哭ク
# 欲望 (53)
遠くの街へ
独り
行ってしまったあなた
あなたの帰る場所が
わたしのところではないことが
こんなにも
さみしいなんて
張りつめていたこころが
ぱりん と
割れた夜
# 遠くの街へ (52)
どうにもならないことに
ココロが
酷く痛む夜
あなたの腕の中で
仔猫のように
ただひたすらに
眠っていたいと思う
諦めの呪文
誰か
教えて
# 現実逃避 (51)