弥生 三月 花ざかり
春なのに
春なのに…
そんな書き出しの
手紙を書いたのは
もうずいぶん昔のこと
季節はめぐり
いままた
弥生 三月 花ざかり
あの日の心は
何処を探しても
見つかりません
あれほど狂った春の日は
今となっては
夢物語
時は
ひと粒の忘れ薬です
胸に微かな苦味を残し
いつか優しく眠らせて
人の心の哀しさは
時の流れに勝てぬこと
弥生 三月 花ざかり
春なのに
春なのに…
わたしは
咲くこともできません
狂い咲くことさえできません
弥生 三月 夢見月
過ぎた遠い日 夢見ます
狂った春の日 夢見ます
✩ 弥生 三月 夢見月 (55)
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わたしに
たった1つの希望が
あるとするならば
先に逝ってしまった
あなたとの再会
わたしが逝くまで
待っててと
約束したこと
最後の日に向かって
日々を送っているわたしを
あなたは空の上から
よそ見しないで
見ていて
再会の時まで
もう少しだけ
待ってて
# たった1つの希望 (54)
3/2/2023, 11:02:46 AM