待たせるあなたと
待つわたし
この図式は
初めから
一度も
変更されなかった
お互いの想いを
秤にかけても
一度も
平衡になんて
なれなかった
時計の針のうえで
微かに震えながら
萎んでいった
わたしの心が
すでに
待つことを
止めてしまったことに
あなたは
まだ
気付かない…
# 時計の針 (30)
あなたへの想いを
風が磨いたこの空に
思いっきり放り投げたなら
粉々に散らばって
夜の星となるかしら
あなたへの想いを
誰もいない夜更けの海に
静かに静かに流したら
波に洗われ丸くなり
小さな真珠になるかしら
あなたへの想いを
沈丁花の木の下に
みんな残らず埋めたなら
心のなかにはひとすじの
花の香りが残るのかしら
胸に溢れるこの想い
どう取り扱えば
いいのでしょう…
# 溢れる気持ち (29)
素早く
軽やかに
蝶々が花に
kissするように
誰にも
あなたにも
気付かれぬように
あなたのハートに
そっと
kiss
# kiss (28)
せつないのは
わたしのなかの
あなたの存在
さみしいのは
あなたのなかの
わたしの不在
✢ ✢ ✢
1000年先も
人は恋をして
せつなさや
さみしさに
こころを
痛めるのでしょう
# 1000年先も (27)
あのひとを
忘れられない哀しさに
勿忘草の花陰で
そっとこぼした涙を
どうか
見つけないでください
人知れず
泣きたいときも
あるのです…
# 勿忘草 (26)