僕はあえて何も言わない。
彼女が夜な夜な遊びに行くのを。
むしろ『いってらっしゃい』と笑顔で送り出す。
これは僕の優しさだ。
彼女は自由でいるときが、一番素敵なんだから。
・・・本当は行って欲しくないんだ。
私はあえて笑顔で出かける。
彼が夜な夜な一人にでゲームするから。
むしろ楽しそうな笑顔で、不満な気持ちを出さないように。
これは私の優しさだ。
彼は笑顔で送り出すから、きっと私はいないほうがいいのだろう。
・・・本当は一緒に夜を過ごしたいんだ。
#13 『優しさ』
飛び立ってから、数十分。
窓の外に見える景色は、煌びやかに輝く散らばった宝石の欠片のようだ。
また間近に見える星の縁へ光が一点に集まっていき、こちらはまるでダイヤモンドリングだ。
その集まった光がパッと輝いた瞬間、その星は陰の世界に覆われた。
そこに点在する人工的な光、それも少し緊張していた私を和ませてくれた。
ミッドナイト・アース
重力から解き放たれたスペースから、故郷の星をただただ何も考えず見つめ続けていた。
#12 『ミッドナイト』
「助かったぁ」
タカトシは僕を見つけて、安心した表情で駆け寄ってくる。
「よぉ、無事だったか」
僕は笑顔で彼を迎えた。
彼にしたことがバレていないのか、不安な気持ちをグッと抑えて。
#11 『安心と不安』
晴香様は輝いていた。
どこからどの角度から撮っても、美しく輝いていた。
太陽を浴びた女神だ。
無我夢中で撮影していると、女神の顔が逆光に一瞬なった。
ん?
何か多少の違和感を感じたが、
目の前にいる笑顔の女神を撮ることで必死だった。
撮影会は終わり、撮影した画像を家のパソコンでチェックしていく。
どれも美しい。
どれも麗しい。
どれも可憐だ。
どれも・・・
手が止まる。
あの時の違和感・・・。
手が震えだす。
そこにあったのは女神ではなく、
・・・悪魔の微笑み
#10 『逆光』
・・・目が覚める。
夢を見ていた気がして、ぼーっとしていたが、カーテンの隙間から射す光の強さが気になった。
・・・・・・・・・
時計!
9時5分!
遅刻だ!
慌てて飛び起きるが、あたふたして体が言うことを聞かない。
どうしたっ、焦るなっ、どんな夢見たっけ、
そんなことはあとだ!
焦れば焦るほど、その場でジタバタするだけで一向に準備が進まない。
あーーーーーーーーーーっ!!!
・・・目が覚める。
慌てて時計を見る。
6時5分だった。
僕はほっとして二度寝した。
#9 『こんな夢を見た』