Morita

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3/3/2026, 2:58:37 AM

6個入りのピノの箱に、たったひとつだけピノが残されている。

前向きに捉えるなら「一個も残っている」と言えるかもしれないが、これは私が私のために私のお金である180円を払って買ってきた貴重なものなのだ。それが食われている。誰かによって。5つの虚無ピノと空になった5つの窪みは、その事実を私に知らしめる。

「誰だ」




【お題:たったひとつの希望】

3/2/2026, 8:22:36 AM

「あんたさあ、欲とかないの」
「欲って?」
「あそこに行きたいとかこれをしたいとか、極上サーロインステーキを腹がはち切れるくらい食いたいとか」
「最後のはヒロカのだね」
「そ。そういうのないの? ユイは」
「うーん」

春の海は凪いでいて、心地よい波音が私たちの間の沈黙をくすぐる。

島の外れにあるこの海岸は学校から遠く、平日の夕方は大抵誰もいない。平らな防波堤に並んで腰掛けて、ヒロカと私と、こうして海を見ながら話すのがいつものことだった。

「ないなあ」
「ああー! 困る!」

ヒロカは大げさに頭を抱えて仰向けに倒れる。

「ネタ切れなんだわ。誕生日プレゼント。何年友達やってんだよ。ノートにハンカチにぬいぐるみに、去年はパフェ奢ったし。ほんとなんでも良いから、なんか欲しいもの言ってよ」
「ふふふ」
「そこ笑うとこ?」
「ヒロカが必死すぎるから」
「はー!? 誰のせいでこんなに追い詰められてると思ってんの!」

足をばたつかせる彼女がおかしくてまた笑ってしまう。

「ほんと、何にもいらないよ」

こうしてヒロカと話せる時間が何より好きだから。

【お題:欲望】

3/1/2026, 5:47:56 AM

遠くの街へ行きます。という書き置きを残して母が行方不明になったのが十年前。

あなたたちの幸せが私の幸せよ、なんて朗らかに笑っていた母がなぜ。

悲しみと寂しさに暮れ、それでも容赦なく部屋は汚れお腹は空くので、父と私と弟の三人で見よう見まねで家事をして。




【お題:遠くの街へ】

2/28/2026, 6:12:29 AM

そんなこと言ったって、やりたくないことはやりたくないのだ。

私だって好き好んでミカンばかり食べているわけではない。これで5個目。指先はミカン汁で黄色くなってきたし、いい加減歯ごたえのあるスナック菓子も食べたくなって来たけど、今こたつから立ち上がったら現実を直視せざるを得なくなる。見ざる聞かざる言わざるプロポーザル。プロポーザルってどういう意味だっけ?勧めるだか推奨だか。知らん。今は指がベタベタだからスマホで調べ物もできない。

【お題:現実逃避】

1/9/2026, 11:24:19 AM

「薄氷の三日月」という名のカクテルを、このバーでは出しているという。公には



【お題:三日月】

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