onion cryer 330

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3/15/2026, 12:31:12 PM

星が溢れる

3/13/2026, 5:09:12 PM

寝ることが苦痛になった。
代替えの娯楽と代替えの暖かさで
スマホと毛布が手放せなくなった。
よりマシな動画により重い毛布
もう隣にいてはくれないから
代替え品を用意するしかなかったんだ。
寝ることが苦痛になった。
前よりずっと寝るのが難しくなった。

3/11/2026, 7:49:02 AM

平和の物語にはいつだって悪者がいて
愛の物語にはいつも疑いがあった
そんな物語のハッピーエンドにはいつだって
私の不幸がある。
2人の愛を切り裂こうとする不届ものだから、悪者だから
不幸になった私を見てみんなせいせいする。
そんなくせして目を輝かせてこの物語を
平和や愛だなんだでまとめやがる。
だからこの世界には愛も平和も存在しない。
仕方がない。ほら嫌いなあの子が転んだよ
うれしいね。
けどどこか似てる気がしてなんとなく手を差し伸べるんだ。
誰だっけこんな傷だらけ
何?その顔、助けてもらって愛かなんかでも感じちゃったの?
そんな顔じゃ誰と似てたか思い出せないじゃん
もっと泣いとけよ

3/10/2026, 7:00:27 AM

文を書くのが好きだった
世界をちょっと綺麗に言ってみるのが好きだった
不満が溜まるとちょっと黒く霞むけど問題ない
綺麗な物語が安定剤だった
けどそれは微々たるもので
角が少しかけたくらいの変化だ。
ちょっと綺麗に言ったくらいじゃ
無くなることはないし減ってもくれない。
なくなったって自分を騙すか
それか騙されたふりくらいしかできないんだ
てことで不満は積み重なる。
明日。明後日。明明後日。
比喩から外してひどく強い言葉を使ってみる
汚い言葉に罵詈雑言 
この世界は終わってる
酷い言葉と皮肉と文句を汚い言葉で繋いでく
楽しかった。騙すのも騙されるのもやめて、
被害者面で世界を嘆くのが楽しかった。
いつしか癖になった。
この世界がいかに汚く醜く退廃的なのか
自分に教えてあげるんだ。
もう信じて苦しまなくていいように
いい人なんて1人もいないんだよって。
それはそれは楽しくて書く手が止まらない。
なのに一向に足が動かない。
もし本当に、綺麗な世界に行くのなら
きっとスキップをして歩くだろう
空を見て歩くだろう。花を見て歩くだろう。
今や閉ざし切ったカーテンすら汚らわしい
世界はきっとずっと汚いから
もう歩くための妄言はどこにもないから
歩けない。このままずっと

12/1/2025, 10:36:58 PM

330 ゴーストライター

彼は目が見えないらしい。
そしてまた残酷なことに物語が大好きなんだと言う。
にしても私たち2人はただの思考実験の被験者同士にすぎない。
週末に受ける1時間ほどアンケートをのぞけば
私たちはルームシェアをしている2人にすぎない
部屋はそりゃ膨大な研究室のたった一室だから
質素で味気ないけど、キッチンもトイレもお風呂も
冷たいアパートとなんら変わりもないだろう。
そんな一つアパートの中で彼ともう一ヶ月半、
そしてあと五ヶ月半生活を共にするんだ。
この生活が始まる前相手のことなど教えてもらえなかったから目が見えないと聞いた時はもちろん驚いた。
ただ本当に孤独だった私は、
誰かがこんな私を必要とし頼ってくれるだけで嬉しかったのだ
そんなことで私は消灯前のたった十分が幸せだ。
毎晩消灯10分前になると
物語好きな彼は、1人じゃ字が読めないから
私に読んでほしいとはにかみながらお願いするのだ。
その時間が私は本当に大好きなのだ。
私はまっさらな壁に寄っかかって本を開く。
おとぎ話から小説、いろんなジャンルの
と言ってもフィクションに限ったが、
恋愛、ミステリー、コメディ
ほぼ全てと言っていいほどのジャンルを網羅していただろう。
私は口を開いてなるべくゆっくり読み進める。
噛まないように伝わるように。
私は目の見えない彼にでも誠実に接しようと思った。
同情でも自己満足でもなく誠実に
されど意思は弱いもので
私は彼に秘密を作った。
彼から読み聞かせ係を任されるようになって私は、
読み聞かせる前に1人で最後まで読んでみることにした。
ただこれが退屈で苦痛だった。
なんてったって彼から渡される本は驚くほどにつまらないのだ。もちろん起承転結なんて完璧だし
文の構成も伏線の回収も随分と技術の高い本なのだろう。
なのに、まるでドラマがない。
ほんの出来心だった。
なんてあまりにオーソドックスだが
本当にちょっとのつもりだった。
私はどうせ彼の目に触れることのない紙の媒体にペンを
走らせて、キャラクターの感情を足していく。
物語は基本王道のストーリーパーターンが決まっていて
大抵の話はたった11種に収まるのだと言う。
そこで世の作家が力を加えるのはキャラクターだ。
というわけで結局ちょっとのつもりが
性格を作って心情表現を変えてセリフを変えて
行動を変えた。
そしたらいよいよ結末まで変わってしまいそうだが、
綺麗な伏線回収と文構造はうまく残せたと思う。
そうして私はそれがあたかも彼が好きな作家が書いた本
かのように読んで聞かせるのだ。
どっかの誰かから見たら親切かも知れない
それは、大多数から見れば最低で自己満だ。
それでも私はこの幸せな10分間をより幸せな10分間に仕上げていく。本の推敲と似てると思う。
ただそんな幸せもまた、本と同じで終わりが来るものだ
つまり思考実験の期間が終わったのだ。
終わりはあっけなく無感情な職員との面談で終わった。
感情プロセスがどうとかこうとか
無表情で言われてもって感じの話が続いた。
それきりだ。
それから私はまた社会の歯車に戻った。
その時は彼が今どうしてるかは知らなかった
ただ世間に戻って、ニュースを見て時代だなと感心した。
AIが小説を書いているんだから。
〝感情プロセス導入大作〟
感情プロセスってそういう。
要は感情の欠落という作家にとっての致命傷を
半年間の分析と学習で補おうとしたのだ。
被験対象は私1人だったのだという残酷な伏線回収。
ネットニュースを前に笑う私は
一世一代のゴーストライターだ。
そこにあったあの時間、確かに愛があったと
信じていたいと思うの私は本当に人間らしい。
盲目ロボットは世間を騒がせる稀代の一流作家になったよ
平凡な私はまた歯車に戻るだけ?

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