わたしはいつまで神様のままでいるの
ねぇ誰か神様代わってよ
誰か助けてってば
人は何が起こるか分からないと言って選択を繰り返す。
しかし、
生まれた時には既に神様がその選択全てを決めているのだ。
誰と出会うか、出会わないか
誰と結婚するか、しないか
どの大学に受かるか、落ちるか
どの会社に受かるか、落ちるか
ましてや今日の朝ごはんがご飯かパンか
全部もうシナリオとして決められているのだ。
ただ、化学が世界の真理を追い越したがゆえに
ひとつ大きな異変が生まれてしまった。
それがこの交差点だ。
ある化学者が現代の無数の技術を駆使して作ったこの交差点だ
この交差点を渡ると神様が作ったシナリオを
ひとつ書き換えることが出来るのだという。
ただし変える選択肢を選ぶことなど出来ない。
なんとなく変わった違和感を感じることだけが確かだ。
世間はこの科学者を稀代の革命家と呼んだ。
マッドサイエンティストと言うコメンテーターもいた。
このコメンテーターは誇張表現だと荒れに荒れたが
共感する声ももちろん上がった。
そりゃそうだ。
たった選択一つで他の人の未来までもが
変わるリスクを孕んでいるのだから。
というわけでこの交差点は技術ごと村の外れに移動された。
廃止しろとの声も大きかったが人の好奇心は計り知れない。
それに乗せられた化学者が今更食い下がる訳もなく
この村の外れに押し付けたというのが綺麗な落ちだ。
いい迷惑だと思う反面
交差点目的の観光客のおかげでこの村が賑わったのも事実だ。
曲がっても進んでも田んぼしかない交差点をこれほどの人が通る日が来るとはさすがの村長も予想してなかっただろう。
というわけで、
今、私の目の前には件の交差点がある。
もちろん渡るつもりだ。
正直ずっとうんざりだった。こんなどん底な人生。
いつか、いつか報われるって馬鹿みたいに頑張って
結局馬鹿な社会のハムスターのまま変われない。
神様はきっと私のことが嫌いなんだ。
前世で私はどんな大罪を犯したのだろうか。
それを今世にまで持ち越す程の憎しみなんて計り知れない。
神様は、きっと私のことが、大嫌いなんだ。
だから、変えてやる。
交差点まではあと一歩。
不幸は9割。
1割が覆ることなんて
もっと不幸になることなんて到底ないはずなのにさ
君が中途半端に幸せを残したから
この1歩を踏み出せずにいるよ。
なぁもうほんとどうにかしてくれよ
見覚えのないあざができていた
青の水彩に紫を数滴足したようなそんな色。
肌が白くてよかった。
綺麗に浮いたあざがまだ愛おしく思えた。大丈夫。
中世のヨーロッパではにわかにこんな思想が支持されていたらしい。「不健康であればあるほど女性は美しい。」ふざけた話だとしてもこれがその時の思想であれば求めるしかないのだ。そして、美しさを手に入れるために死んだ女性は、幸せだった。細すぎるウェスト、折れてしまいそうな手足、浮き出た血管、青白い肌その上に美貌を乗せて幸せそうに眠っていった。もし私はこのまま死んだらどんな顔をしていられる?あいつは泣くの?それとも愛してくれんの?
ねぇ泣くのは結局また私だけなの?
もしも世界が終わるなら全部捨てて君に会いに行くのに
なんで世界が終わんないとそんなことも出来ないんだろうね
いっそ全部全部やめて、手に残るのが君だけになって
その時になったらちゃんと救えると思うんだ。
文字に温度なんかないからさ絶対その時会いに行くよ。
だから、待ってて、お願い待ってて
どうかその時まで生きててください。
「もし世界が終わったら、」
ってそんなんじゃ何も救えないよな
離れれば離れるほど君の命が軽くなった
分からないふりで後回しが癖になった。
世界が終われば後がないからやっと腰をあげるんだ。
そのくせ誰かのヒーローでいたくて口だけ達者で
救えたものなんかひとつもなかった。
ねぇ、明日私が世界終わらすから会いに行くよ。
うん、今から。すぐに助けに行くから
助けるから
待っててよ、
いっそ逃避行しちゃえば?
許してくれんのかな?
フロイトも言ってくれるよ
これは防衛機制なので仕方ないですって?笑
そうそう、許してあげましょうって笑笑
いや笑えないってば
でさ、落ち着いたらまた戻ってくればいんじゃないの?
それじゃ傷心旅行じゃん
それか泣き寝入りね?
どこが逃避行だよ笑