汚れた電車の窓よりも
遠くの朝焼けに泣けたなら。
世界の平和を謳いながら
一定数の不幸を願った
誰かを罵りながら
自分の安定を保っていた
そう、そうやって生きていたんだ
可哀想な人を笑いながら
本当は誰かを助けたかった
あなたに笑って隣にいてほしいから
あなたの居場所を削って行った。
そうやってなんとか生きていたんだ
大切な何かを大切にしながら
ゆっくり壊して。生きていたんだ
この街にはわるーい悪魔がいた
嘘をつく子供を捕まえて喰らうのだ
しかしここ100年ほど
嘘をついて喰われる子供がめっきり減った
というのも、悪魔は通信媒体まではのぞけないからだ
放課後会って遊ぶなんてことも昔と比べて激減
それが何を意味するか。
悪魔の細ったくなった腕でも見ればわかるだろう
というわけで何がなんでも嘘をつかせなければいけなくなった
そこで頼ったのがその街一番のほら吹きだ
餓死直前であった絶好の獲物
そいつは
僕があなたを救うから見逃してくださいと、
そう悪魔に懇願した
普段の悪魔であればそんな願いを聞き入れるはずも
なかろうに、あろうことか悪魔は受け入れた
もうどーでもよかったのかも知れない
それともこのホラ吹き小僧を信じたのか
そんな話はどうだっていい
ほら吹き小僧は考えたみんなに嘘を言わせる方法を
そういえば隣のまた隣の街では
嘘をついてもいい日というのがあるらしい
正確な日にちは分からなかった小僧は
今日この日をその日にすることにした。
ここまでを悪魔に話してみれば
それはそれは感心していた
しかしそのことをこのほら吹き小僧が言っても
聞き入れまい、そんなことを悪魔も気づいていたのだろう
少年は考え込んだ
そんな時少年の上の電柱
詳しくは電柱に巻きつけられたスピーカーから
村内放送が始まった
村長の声でさっき話した内容がスラスラと
笑う少年の横に悪魔はもういなかった
寝ることが苦痛になった。
代替えの娯楽と代替えの暖かさで
スマホと毛布が手放せなくなった。
よりマシな動画により重い毛布
もう隣にいてはくれないから
代替え品を用意するしかなかったんだ。
寝ることが苦痛になった。
前よりずっと寝るのが難しくなった。
平和の物語にはいつだって悪者がいて
愛の物語にはいつも疑いがあった
そんな物語のハッピーエンドにはいつだって
私の不幸がある。
2人の愛を切り裂こうとする不届ものだから、悪者だから
不幸になった私を見てみんなせいせいする。
そんなくせして目を輝かせてこの物語を
平和や愛だなんだでまとめやがる。
だからこの世界には愛も平和も存在しない。
仕方がない。ほら嫌いなあの子が転んだよ
うれしいね。
けどどこか似てる気がしてなんとなく手を差し伸べるんだ。
誰だっけこんな傷だらけ
何?その顔、助けてもらって愛かなんかでも感じちゃったの?
そんな顔じゃ誰と似てたか思い出せないじゃん
もっと泣いとけよ