陽月 火鎌

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12/1/2024, 2:10:09 AM

≫見捨てられた家のポストを開けてみた。
 どうやら中には、一通だけ封筒が入っ
 ている。
≫どうやら一度開けてからテープで中を
 閉じたようだ。

≫テープを剥がして中を見てみますか?
  ▷はい  いいえ

≫中に入っていたのは、手紙が数枚と一
 枚の写真、そして銀色の絵の具で色付
 けされた木彫りの板だった。


≫何度も消した跡がある
 手紙を読んでみますか?
  ▷はい  いいえ

「■■へ!
 オレたちはどんなにとおくはなれても
 えいえんにナカマだ!
 そのことわすれてなくのはやめろよ!
              まきより」

≫まだ二枚手紙が残っている。
 柑橘の匂いがする読んでみますか?
  ▷はい  いいえ

「ル■へ
 ボクらはいつもつながっている。
 だからルカは、ぜったいにひとりぼっ
 ちじゃないよ。

 マキもハナねぇも、もちろんボクも
 ■カのことをしんぱいしてる。
 だから泣かないでほしいんだ。ルカ。
             ハズキより」

≫まだ一枚手紙が残っている。
 濡れた跡が残っている
 手紙を読みますか? 
   はい ▶はハ刃イいヰ


「■■カちゃんへ
 大丈夫ですか?
 最近、あまり水晶で連絡がつかないの
 で手紙を送りました。
 マキシズとミキハズキに手紙を書いて
 いるところを見られたので、二人の手
 紙も同封しました。
 返信は無理にしなくても大丈夫です。

 私はただ、■ル■ちゃんが泣きそうに
 なったとき、そっとそばに寄り添って
 ミ■■ちゃんの苦しさが、ちょっとで
 も無くなればいいと思って、手紙を出
 しました。
 無理をせず、ゆっくりと外の世界に慣
 れて、いつかの私達が願った夢を叶え
 てくれると、嬉しいです。
           ハナミズキより」

≫どの手紙も送り先の人物の名前が塗り
 潰されているようだ。…なぜだろう?

『  ミタナ…?オマエ、ミタナ?  』

⸺⸺⸺ゲームが落ちてしまった。
丁度いい、今日はもう終わりにしよう。

     *

「な、何なんだよ…お前…」
『私ダヨ?泣カナイデ………ミルカニナロウ?ミルカハ私デ、次ハ貴方ナノ。泣カナイデ、次ニ手紙ヲ開ケタ誰カニ、ミルカヲ引キ継ゲバ、貴方ハ戻レルカラネ。ダカラ……変ワロウネ』
「……ぁ、あぁ…やめろ、来るなぁ!来るな!!!………⸺ア、アァ…』
『ゴメンね………⸺戻れ、た…よかった!家に帰れるんだ!!!」

【繰り返されるイベント】

11/29/2024, 8:24:28 AM

君と他愛のない話をして、終わりの時を待っていた。
そんな時、君がこの壊れかけの世界に、ずっと居たいという言葉をこぼした。
だから、どうして君はこの世界にずっと居たいのか、聞いてみた。
心を読めば直ぐに分かるけど、今は。
今だけは、君の口から、彼女の思いを聞きたかったから。
少しばかり静寂が辺りを支配していたが、ぽつり、ぽつりと、君が自身の思いを話し始めた。

    *

「私が、ここにいたい理由はね、終わらせたくない…っていうより、……⸺終わりが、怖いんだよ。思い描いた通りに魔法が自由に使えて、この世界で数え切れないほど生きて、大抵のことじゃ死ななくて……そんな状態に、慣れた私が………元の世界に戻ったとき、この世界を作る前だった私に戻れるのか、わからないよ」

そっか、そうだったね。
君は、”絶対”って言葉よりも、”変わる”ことが怖かったね。
少しずつ変わるならともかく、大きく変化することが怖くて……だったらいっそ、”不変”がいいって。
だからこの世界は少しの刺激と、一度出来上がったモノは絶対に変わらない世界なんだよ。

そういえば……元の世界だった頃の、昔の君に怒られたっけ。あの時の俺は、しばらく切れていなくて腰下まで伸びていた髪を、肩口まで切って、君に会いに行ったね。
そうしたら君、俺に会ってすぐ泣きだして、「どうして私に何も言わないで勝手に髪を切ったの!」って、自分勝手に言ってて……今だから言うけどね、その時の君、とっても自分勝手で、俺は君のモノだって主張してて……ちょっとキたんだよね…///

「……⸺ふん!」

⸺痛ァっ!?
ちょっ、ちょっと!?俺の発言に怒ったのは分かったから、いきなり急所に肘打ちしないで!?

「ばーか」

いっつつ、はぁ……ごめん。

「………じゃあ、終わらせないで。私はずっと、この世界をに居たい。この世界の夢を見続けたいの」

……終わらせないことで、君に許されないとしても、俺のこの世界を終わらせるという決断は揺らがないよ。
この世界を終わらせないと、君が死んじゃうから。

「それは、そうかもね。でも…だから、許さない」

…………。

「向こうで……元の世界で、生きてる貴方が謝るまで、許さないから」

⸺!
それは……大変だな。
君が三年待っても、俺が君の前に居なきゃ、その場合の俺は、とっくの昔に死んでるだろうから、その後は好きにしなよ。

「……わかっ、た。好きに…やるよ」

ふふ、分かったらいいんだよ。
⸺もうちょっと話せそうだね…何話す?

「じゃあ……あ。色々レシピ教えて。作りたい」

あぁ、わかったよ。じゃあまずは⸺。

【この思いは、終わらない】

11/27/2024, 1:27:57 PM

『愛情たっぷり育てて、君好みの恋人を作ろう!』

たまたま踏んだ広告。
直ぐに閉じようとしたが広告の内容に、マウスを動かす手が止まった。

「あ、あやしぃ〜……けど、なぁ〜」

生まれてから一度も恋人が出来ず、彼氏いない歴=年齢と言えてしまう私だが、私だって努力してるのだ。
遺伝により背が低いのを、計算した運動でむっちりボデェでカバーし、自分に合う服装や化粧にも気を使っている。
ぶっちゃけ、既婚者である義姉よりも女子力と呼ばれるものを多く持っている自信がある!……のに、合コンに参加しても、主に身長を理由に、二次会に参加させてもらえないのだ。ちくしょう!

正直、自分好みに育てるというのは、あんまり好きじゃない……あの義兄と同じ癖は持ち合わせてはいないのだよ、ケッ。
しかしこの広告は、神にすら無理と言われた私が縋る、藁なのではないかと思うのだ。よし買おう、買えるし買おう。

フハハハ!あの共依存気味夫婦を超えるくらいラブラブできる彼氏、育ててやらァ!!!

 ◇◆◇◆◇

「で、その結果はどうだったんだ?」
「見ての通りだよ。広告はただの詐欺で、数百万詐欺師に資金提供しただけだった………詐欺師はボコって金取り返して警察にお届けしたけど」
「ふーん…残念だったな。上手い話には大抵裏があるってこったろ」
「そっかぁ……ねぇパパぁ、お見合いセッティングして♡」
「はっ……次パパって呼んだら、パパ活女子って呼ぶぞ」
「いやそれそっちも被害受けない…?」

【今回のお見合いも駄目だった()】

11/26/2024, 1:52:42 PM


「う〜ん……風邪薬飲むには、微妙な熱だなぁ」
現在の体温、37.2℃……微熱だ。

いやまぁ、今回の私の体調不良は、熱が出るよりも、頭痛の痛みの方が勝っているから、薬を飲むなら頭痛薬の方が効くだろうなぁ。
しかし、これが風邪ならな…喉の痛みや鼻水が出たりした場合に効く、風邪薬の方が若干お得に感じるよね!

「むむむ…どっちを飲んだ方が楽になるんだろう?」
「いやお前、昨日吐くほど飲んでたろ。頭痛は二日酔いだよ。それに、カイロ貼った近くで体温測ってどうすんだよバーカ」
「⸺えっ………あ!?」
「お前、寝ぼけてたな………おら、しじみの味噌汁作ってやったから、それ食べて大人しくしてろ」
「…後ででいいから、膝貸して」
「飲んだあとの瓶とか缶を自分で片付けた後ならいいぞ」
「やった。朝ごはん食べて、片付けたらおねがいね♪」
「…はぁ、あいよ」

【とある朝。寝ぼけた人とツッコむ人】

11/25/2024, 12:47:21 PM

病弱で、食事をあまり食べなかった娘。
ある日娘はこう言った。

「ねぇ、お父様。私ね、この世から開放されるときは、太陽の下がいいわ。⸺私の最期の願い、叶えてくれる?」

娘の願いの殆どを叶えてやれなかった私は、彼女の最期の望みを……叶えることにした。
娘を背負い、日傘を使い、太陽がよく見える花畑へ向かう。向かう途中に陽の光が当たらぬよう、気をつけながら。そして⸺

 ◆◇◆◇◆

「⸺セリカ、ついたぞ」
「んぅ………ぁ。ここ、きれい」
「そうだろう。私も、ここの景色は気に入っていてな。…セシリアの墓があるのも、この花畑だ」
「セシリア…お母様の、ですか。……死んだら、怒られてしまいそうですね」
「あぁ…そうだな」

娘にまだ、陽の光が当たらぬよう、ゆっくりと地面へと降ろす。自然を感じるのが楽しいのか、花を手折って匂いを嗅いでいる。⸺………っ。

「セリカ…そろそろ、日傘を閉じるぞ」
「⸺あっ……そうですね、お願いします。お父様」

日傘を閉じる。
その直後、身体全体に痺れるような痛みが走り、身体全体が沸騰するような熱さに襲われる。何度も経験した通り、身体のあちこちから煙が噴き出し、肉が焼けている臭いがする。

そしてそれは、娘も同じだった。
いや、娘からしたら、父親が同じ痛みを受けていることは、おかしなことだったのだろう。
私も陽の光を浴びていることに驚いた娘は、慌てるように言葉を紡ぐ。

「お…お父様!?お父様は日傘の下にいらしても⸺」
「何を言う。私がセリカと同じ痛みを受けない訳がない」
「なっ…ど、どうして!?」

私の返答を聞いて娘は、訳がわからないというような顔をする。⸺顔が歪むほどの痛みが続いているというのに……セシリアも、表情が豊かだったな。

「悲しいことに、私の身体は陽の光を浴びても消滅することは無い。おそらく、私の血は先祖に近いのだろう。だからこれは、私の推測になるが…私が死を迎える時は、先祖に習って、銀の剣を携えた英雄に殺された時だろう」
「………お父様は、死にたいのですか?」
「ふふっ…セリカ、私はね……セシリアに会う前から、死を待ち望んでいるのだよ」

私の答えを聞き、少しの間口を閉じていた娘は、何か悩んだような表情から、何かを決めたような表情に変わり、私への、最期の言葉を告げる。

「お父様。死んだ後、また会える保証なんてありません。ですから、しっかりとお別れを言います」
「⸺!…そう、か。わかったよ、セリカ。……さよならだ、セリカ」
「えぇ。……さようなら、お父様」

そうして別れを告げた娘の身体はすべて…⸺蒸発した。
骨すら残っておらず、この場に残されていたのは、娘が最期に身に着けていた衣服やアクセサリーの類いだけだった。

⸺その後、どのようにして城に帰ったのか、私は覚えていない。

 ◆◆◆◆◆

「お前が持ってきた、最低最悪と言われた、悪名高き吸血鬼の日記だが……ほぼほぼゴミだったぞ。魔法の記録が一つも無かった」
「えぇぇー……マジですか?それ。オレ結構苦労したんすよ?勇者サマに同行して、勇者サマ一行が吸血鬼と戦闘中にこっそり抜け出して、吸血鬼の私室を荒らして…それなのに、強力な魔法がひとっつも無いとか、オレ働き損じゃないっスか!」
「うるさいぞシュレン。貴様、戻ってきてから更に騒々しさが増したのではないか?」
「うぇ!?…そッスかね?」
「うむ。……貴様をクビにしても、人材は足りてるぞ?」
「ひぇっ!?ちょっ、真面目に!真面目に働くので解雇だけはマジ勘弁してください!!!⸺あっ!オレ、本部の掃除手伝います!今のオレができる仕事をやりますんで、では失礼します!!!」
「………口を挟む間も無く、逃げられてしまったな。まぁいいか、どうせシュレンは捨て駒に近い。⸺ククッ、我らが闇ギルドがこの国を制することは、闇ギルド設立時から決まっている運命なのだよ…フハハハ!」

【誰かの大事は誰かにとってはゴミ同然】



おまけ

「よぉし!ここの掃除完了!それじゃ、次の場所を…⸺あり?なんッスかね、この穴ぁぁぁ!?!?!?」
【とある男、異世界へと呼び寄せられる。しかし、最後はきっと、妖に……。】

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