18 波にさらわれた手紙
この手紙を拾った方へ
罪悪感から僕の罪を書きます
僕は親を殺しました
アル中でいつも僕を殴ってくる父
お金が大好きで僕に保険金をかけて殺そうとしてきた母
僕には兄弟がいました
いつも僕を守ってくれた
僕を庇ったから殴られた痣や切り傷がいつも沢山ありました
ある時本当に僕も兄弟も殺されそうになりました
兄弟が僕を守るので兄弟から殺そうとしてました
兄弟は色んなところを刺されて、血がドバドバ出てました
だから僕は後ろから親を刺しました
救急車を呼んで兄弟は一命を取り留めましたが親は綺麗に心臓を貫いたので死にました
兄弟は入院生活です
警察は正当防衛として僕を捕まえませんでした
兄弟が死にました
父の飲み仲間が病院に乗り込んで殺したらしいです
泣きました嫌になりました
だから、飲み仲間を殺しました
殺すとき、罪悪感はなかったです
だって大事な兄弟を殺したから
何度も何度も刺しました
そしてこの手紙を書いています
手紙の隅が赤黒く染っているのは気にしないでください
この手紙を流して僕も一緒に海に流れたいと思います
拾って呼んでくれてありがとう
名前も知らない誰かさん さようなら
17 8月、君に会いたい
『なぁ、れい 今日はどうする? 暑い中部活頑張ったし、アイスでも食おうぜ』
そう言ってコンビニに入る
「そうだね、活躍してたしご褒美としてちょっと高いの買ったら?」
『おい、金欠になるって でも買っちゃおうかなぁ』
「いいじゃん ほら、ハーゲン〇ッツがこっちを見てるよ?」
『えぇでもなぁ、、、、期間限定あるじゃん やっぱり買お』
「ふたつあるけどどっちにするの?」
『どっちにしようかなぁ、両方捨てがたいぃ』
「じゃあ、僕がこっち買うから、そっち買って 半分こしよ?」
『え、良いのか? じゃあお言葉に甘えてぇ』
俺はルンルンでレジに向かいアイスをふたつ買う
『じゃああっちで食べようぜ』
「そうだね」
『あぁ、美味しいよ れい』
アイスを食べながら呟く
「また来てるわ、あの子」
「大事な幼馴染を亡くしたんだってねぇ」
「亡くしてもまだその子と喋ってるらしいわよ」
「亡くなった子の幽霊でも見えてるのかねぇ」
通りすがりのご近所ママさんたちの会話が聞こえる
『あぁ、れい なんで、なんで俺を置いていったんだよ』
「君には生きてて欲しかったからね」
僕は涙をこらえて溶けかけのふたつのアイスを食べる
「でも、君がここに居てくれるから、寂しくないよ」
『当たり前だろ 俺のたった一人の親友なんだから』
れいは俺を庇って死んだ
せっかく買った高いアイスが溶けるのも気にせず俺は墓場で涙を流す
16 眩しくて
貴方のおかげで活躍できる
貴方が眩しくなるほど、影は濃くなり闇に溶け込める
だから、僕は目立たない
貴方に意見を伝えれば勝手に広めてくれるし、ちょっとバカだからそれっぽい理由を言えば動いてくれる
輝く貴方にはカリスマ性があってみんな言うことを聞く
僕は裏の支配者だ
眩しい表の支配者は貴方
だけど貴方を操っている僕がこのクラスの真の支配者
だからもっと輝け、もっと眩しく
あなたが輝くほどみんな従うし、僕が操ってるなんて夢にも思わない
15 熱い鼓動
「はぁっ あぁっ」
刺された
後ろから深く
私は仕事でこの街に派遣されたエリート社会人
昇格するためならなんだってした
たとえ相手を蹴落とすようなことがあっても、ズルをしても
今思えば沢山恨みを買ってたんだろう
でも、なんで?
相手を蹴落としてでも、自分の身体を汚してでも、嫌でも、逃げ出したくてもここまでやった
だからエリートなんだ
これだけは譲れない
誰かに悪く思われようが自分を汚そうが頑張ってきたのに
誰かに認められたかっただけなのに
この街にいけと命令され喜んで行った
この仕事を完璧にこなせば昇格だから
何時もは定時に終わらせている仕事をいつもより早く終わらせ夕方に一人で帰っていた
苦しい、痛い、熱い
心臓がドクドク早くなる
引きずられてる 嫌だ嫌だ そっちは川でしょ?!
こんなに頑張ったのにここで終わるんだ
川に投げられあんなに痛いぐらい激しく熱く動いていた心臓が完全に止まった
◇1つ前の「タイミング」で刺された女です◇
14 タイミング
1人の裏路地
薄暗い夕方
人気のない道に1人の女が歩いている
絶好のタイミング
グサッ
刺した
深く深く刺した
聞こえてくるうめき声
流れていく真っ赤な血液
「知ってる? ここ沢山殺人が起きるイカれた街なんだ。警察も
使い物にならない」
倒れる女
こっちを睨んでくるが全く怖くない
この目は沢山見てきたからね
女を引きずり川に投げ捨てる
「沢山の恨みを買ったあんたが死ぬのは偶然で、、、運命だ
たった1人この街に派遣されたこのタイミングでね」
もう聞こえてないだろう女にそう呟いた