こっこ

Open App
9/12/2024, 4:59:22 AM

カレンダー   Ver.2


9月10日母の誕生日。壁にかかったカレンダーには星マーク。
近所の花屋さんで、リンドウを選んだ。母の好きだった紫の花。リンドウは9月の誕生花でもあるそうだ。誕生石のサファイアと並んで寒色系って涼しげで綺麗だ。
私は7月生まれで、誕生花は向日葵。誕生石はルビーだ。誕生石も色々ある中で、ルビーにはときめかない。
母に「私もサファイアの誕生石が良かった〜。」といつも言っては二人で笑った。
もし、母が生きていたら今年で80歳を迎えた。
死因は胃癌。手術をして自宅で療養するも、長くなかった。桜が満開の春に母は逝ってしまった。
私は暫く桜を見ると悲しくて、桜を綺麗だと愛でることが出来なかった。
立ち直るまで3年かかった。
亡くなった命日より、母の誕生日に重きを置く自分が不思議だ。
今年の9月も水色のぺんで書かれた星マークがついたカレンダーが、窓辺でゆれている。

9/9/2024, 1:50:15 PM

世界に一つだけ


世界に一つだけ願いを叶えてくれる魔法が使えたなら…。
戦争のない平和な日々が永遠に続く世界しか望まないだろう。
日常の様々なシーンで、戦争に苦しんでいる人々に思いを馳せる。
私達は、どんなに質素であってもご飯が食べられない日は皆無に近い。
怪我をすれば病院にも行ける。
好きな時間に好きな事を何の制約もなく楽しめる。
大切な人と一緒に過ごせる。
目の前で愛しい人達の命が奪われるなんて…想像しただけで気が狂いそうだ。
人の命を奪って良い理由なんて一つもない。
悲しいニュースを目にする度に心が痛む。
目を背けたくて、ニュース番組を見ない日もある。
そんな自分も時々嫌になる。
映画に登場する無敵のヒーローが世界を変えてくれたら良いのに…。
そんな子供じみた思いが湧いてくる。
子供に人気のアンパンマンを書いた、やなせたかしさんは平和への思いを込めてあの作品を書かれたのは有名な話しだ。
手のひらを太陽に、の歌詞もやなせさん。
「僕らはみんな生きている…生きているから…。」
世界のリーダーが、どうか平和主義者でありますように。
世界がいつか手を取り合って一つになれますように。
みんなの思いが届きますように…。
世界に一つだけなら、平和以外望むものなどない。

9/7/2024, 9:38:49 PM

踊るように   Ver.2


結婚して15年が経っていた。私はちょうど40歳。
お付き合いをしていた頃、20歳のお祝いに、サーモンピンクの薔薇の花を20本プレゼントしてくれたのが、私の旦那様。
「これ抱えて、待ってるのちょっと照れたけど…。」
と笑った彼が可愛らしかった。
派手な喧嘩は2回程したけれど、あなたは結局どこか憎めない。
真っ赤な薔薇じゃなくて、私の一番好きな色の薔薇を選んだり…。今日も鉱物が大好きな私に「結婚15年目は水晶婚っていうらしいよ〜。」
と、水晶の原石をプレゼントしてくれた。
「こっちが今日のメインの鉱物。」コース料理の最後のデザートを食べ終わった私に、リボンがかかった小さい箱を渡した。
ダイヤモンドのRing。
「4月生まれの君に、いつか渡そうと思って…。15年もかかっちゃった。」
照れ屋のあなたらしいなと、嬉しさが込み上げてきてちょっと目頭が熱くなる。
私に内緒で少ないお小遣いの中から捻出してくれたんだ。
「ありがとう。私はあなたと結婚して幸せ。今までも〜これからも。」
「こちらこそ、いつもありがとうね。」
こういうことを、普段は口下手で言わないあなたが言うと、嬉しさ倍増するじゃない。
予約してくれたお店を出て、大通りを歩いて帰った。
結婚する前2人で通ったディスコでかかっていた懐かしい曲がふいに聞こえてきた。
あなたは軽くステップを踏んで、私を笑わす。足がもつれそう。ワインがいい感じにまわって踊るように手を繋いで帰った夜。空には4月の満月ピンクムーンが二人を照らしていた。

9/6/2024, 12:35:12 AM

貝殻   Ver.2


このお題は2回目なので、はっきり申し上げて書きたくない。
「些細なことでも」でも触れたが、テンションが上がらない。
まだ書き残したお題は喜んで書いていきたい。
けれど…。今日のお題は使用済み。
私は貝になる…。

9/4/2024, 10:38:31 PM

きらめき


若かりし頃、渋谷のeggmanというライブハウスが好きだった。
あの薄暗がりのステージの中で、スポットライトを浴びて演奏するバンドマンの音楽に乗るのが心地良かった。
その日も数組のバンドが音を掻き鳴らしていた。
その中で、一際輝いていたボーカルがいた。
華奢な身体から発する強くて伸びやかでメロウな歌声。
隣の友達に、「ボーカルの女の子、カッコイイね、うまいね。」
と感動して言った。
スーツ姿のスカウトマンらしき人達がヒソヒソ話している瞬間を目撃した。後に、メジャーデビューするREBECCAの、NOKKOだった。
デビューしたときは、バンドは総入れ替えになってしまったと何かの雑誌で読んだ。
音楽業界って、シビアだ。
でもスターダムにのし上がる人って何かが違う。
ライブハウスでも、NOKKOだけ別次元だったのを思い出す。
そこには、きらめきがあった。
ダイヤモンドの原石をも見つけられる、薄暗い箱…。ライブハウス。
夢中になって通った日々が今では懐かしい。


Next