みんな、ありがとう。
先生、家族、クラスメイト、友達、そして、
私。
みんな、ありがとう。
つらいことも、苦しいことも、楽しいことも、嬉しいことも、全部が大切になる。
君と一緒なら。
友達と一緒なら。
みんなが支えてくれるから。
生まれてきてから、ずっと伝えられてなかった。だから今、伝えるね。今日出会ったあなたにも。本当に、
ありがとう。
「ありがとう」
「あっ、流れ星っ!」
夜空を見上げると、そこには流れ星があった。
「流れ星に3回願い事すると、叶うらしいよ。」
あなたが言う。何を願おう。
「あっ」
また流れ星。
君の隣にいられますように。
そう、願った。
君も、願ってくれているといいな。
「星に願って」
お花をもらうと嬉しい。でも、すぐに枯れてしまうんだよね。
造花は、枯れない。でも、人が造った花っていうのが…。
でもでも、永遠に続く美しさっていうのは、いいよね。
「永遠の花束」
それ以上やさしくしないで。もっと好きになっちゃうから。あなたのいいところがたくさん見えるから。
あなたにやさしくしないでほしいのは、私だけなんでしょうか。
「やさしくしないで」
私はこの国を守る騎士。国民からは「ナイト様」と呼ばれている。本当の名前は、
「おーい、ナナ!」
そう。ナナです。
「はいはーい!どうしたの?」
「んー、なんかね、ここにナナ宛ての手紙が…。」
え、私宛ての手紙?なんで?
「はい。声に出して読んでよ。」
「ん。えっと、なになに。
我が国のナイト、ナナ様へ
この手紙を見つけた頃には、きっと立派な騎士になっているでしょう。毎日のように国のために戦ってくれて、ありがとう。
私はもうあなたに会えないのですが、あなたの活躍は耳にしています。誰もが認めるナイト様になって、私は誇りに思います。
そろそろお分かりかと思うのですが、私はあなたの母です。あなたが5歳の時、急に居なくなってごめんなさい。私はあなたをっ、ナナを愛していまっ。うっ。
あなたの母より。」
「…」
うっ。ん。
「うわーんっ。うぅ、うっ。」
声を出して泣いた。途中からまともに読めてなかったけど、お母さんが、私のことを思い出してくれてるってわかっただけで、十分だった。
「ナナ。」
私のパートナーが名前を呼ぶ。私にはもう、お母さんはいない。でも、安心して背中を任せられるパートナーがいるから、これからもこの国のナイトとして戦っていけるんだ。
「隠された手紙」