あ、あそこに女の子がいる。もしかしてまいご?なら、助けなきゃ。
「君、大丈夫?」
とりあえず声をかける。
「っ、ん、…。」
?なんて言っているのか、きこえない。声は聞こえるのに。
「どうしたの?」
もう一度声をかけてみる。すると、
「んっ、んーっ…!」
走ってどこかへ行ってしまった。大丈夫かな…。後ろ髪を引かれる思いでそこを去ろうとすると、
「ミャー」
猫の鳴き声がした。それも、生まれて間もない子猫だ。今度こそ。そんな思いで近寄っていった。
「きみ、どうしたの?飼い猫かな?」
なるべく優しい声で話しかける。
「ミャー、ミャー。」
さっきの少女と違い、今度は子猫の方から寄ってきてくれた。
「僕と一緒に暮らす?」
冗談半分で言ってみると、子猫は
「ブンブンッ」
音がするほど強く、首を振った。首折れそう。大丈夫なのか?
「じゃあ、うちにくるか?」
確認も含めて、もう一度聞いてみる。すると子猫は、僕に飛びついた。
あれ?よく見ると、さっきの少女と同じ首飾りをしている。少女の髪の色とこの子の毛の色も似ている。もしかしてー。
まあ、いい。深くは考えずに、この子猫のこと、大事にしよう。
〔意味がないこと〕
私は思う。自分のことを疑っている人に、自分は違うと否定することは、意味がないと。人は誰でも、一度そうだと思い込んだらそれ以外の可能性を考えられなくなる。もちろん、私もだが、思い込まれた側になる方が大変だ。
私は思う。思いたい。この世に意味がないことはないと。
きらきらしてる太陽みたいなあなたとあなたの光を受けて輝く、月みたいな私。
違う者同士だけど、どこかで繋がっている。
あなたの光が、私には必要不可欠なんだ。
「うっ、やめて…」
私は、いじめられている。いつからだろう。なぜたろう。なぜ、私だけいじめられるのは、なんで。つらい、苦しい、死にたいっ…。
「◯◯っ」
「っ!」
そんな私に手を差し伸べてくれるのは、あなただけ。あなたが助けてくれる度に、思うんだ。
「◯◯くんは、私の光だよ」
いじめられても、もう大丈夫。私の心には一筋の光が、希望があるから。
「哀愁を誘うねー」
「お姉ちゃん、哀愁を誘うってなあに?」
つい最近まで、そんな会話が当たり前だった。年を重ねるにつれて、物知りになっていく私の妹。
今日は妹の20歳の誕生日。いくつになっても変わらない、私よりも小さな、哀愁漂う背中。
「お姉ちゃん、ありがとう!」
妹と過ごす時間が、かけがえのない幸せだ。