カーテン
カーテン
カーテン
私を包む
暖かいもの
太陽から
私を守ってくれる
優しい隠れ家
誰か
早く
みつけてね
ーーーあなたって、何でいつも笑ってるの?
分からない。
でも、いつも怒っているよりいいでしょう?
笑っていて、嫌な気持ちにはならないでしょう?
それとも、無表情でいて欲しかったの?
真顔で生活したら、あなたはきっと私を「無愛想」っていうでしょう?
どうしたらよかったの?
私に何を望んでいたの?
…………………
黙らないでよ。
私が悪者みたいじゃない。
そっちから嫌なこといってきたくせに。
被害者みたいに泣かないでよ。
なんだ、ただ私に文句を言いたかっただけじゃない。
私がどんな気持ちでいつも笑っているか、あなたは何も知らないくせに。
泣かないでよ。
みんな見てるから。
私は悪くない、私は悪くない。
だから、泣いている「私」を見たって私は泣かない。
なんで泣いてるかも、知らないふりをする。
だって知ってしまったら、もう笑えなくなっちゃうから。
題『涙の理由』
学校帰り。
下車するはずの駅を通り越して、計画のない行動に出てみた。
寄ったのは隣駅にある喫茶店。
お洒落な雰囲気と珈琲のいい匂いに誘われて、つい足を踏み入れてしまった。
カウンター席に座ってメニューを眺める。
アルバイトなどをやっていない自分には少々割高なお値段の品だが、今日ぐらいはいいだろう。
しばらくすると注文した珈琲とパンケーキが届いた。
私はパンケーキに眼を奪われた。
『なにこれっ!!』
そこには漫画などに出てくるような、ふわふわの黄色い生地ととろ~りと溶けたバターがかかっていた。
なんて美味しそうなんだろう。
店員さんは続けてメープルシロップの入った容器を差し出した。
『めーぷるしろっぷっ!?』
私はすぐさまメープルシロップの入った容器に手を掛ける。そしてパンケーキの上にゆっくりとかける。
きらきらの光沢が店内の暖かい光りに反射して、私を写している。光沢と同じぐらい輝いた顔をしている私の瞳がそこには写っていた。
子供みたい。
題『ココロオドル』
今日は大事な日だった。
今後の人生が決まってしまうほど、僕にとって大事な日。そして、君にとっても忘れられない日になった…と、思いたい。
僕と君が出逢った今日。
君に告白するのはこの日だとずっと前から決めていた。
僕の口から出た「好き」は、前もって計画していた格好いい決め台詞みたいなものとはかけはなれていて、君も笑いを堪えるのに精一杯だったんじゃないかな。
……いや、君の表情は驚いていたか。
何十年と感じるほど長い時間のあと君の口から出たのは、「考えさせて欲しい」。
僕はまだ興奮覚めやまぬって感じだよ。まったく。
まあ、君が返事をするまでは僕の束の間の休息ということにしておこう。
たとえ、君の返事がどんなものであっても。
お題『束の間の休息』
地面に突っ伏したまま、拳を握りしめる。
数発殴られた程度で倒れてしまうとは、自虐的に笑いが出てしまっても仕方がないだろう。
ただ、今日はいつもとは少し違った。
手のひらのなかに力強く握りしめられたボロボロの宝物。何に変えても守りたかった、僕の大事。
それを守りきることができたのだから。
もう一度、手のひらを握りしめた。
力を込めて。ぎゅっと…
お題『力を込めて』