辺り一面真っ白な雪で埋め尽くされて
触れてみた雪は、時間が経っているからか少し固くてざりざりで、ふわふわはしてなかった
木の葉っぱを飛ばす風は一瞬にして体の体温を奪ってゆく
寒くて、冷たくて、静かで……
「やっほー、って…鼻とか耳真っ赤だね…僕のマフラーつけときな」
「じゃあ、俺らはこれから打ち合わせあるから、またね!」
急に現れて、お礼を言う間もなく居なくなった、面倒見のいい先輩達を、嵐みたいだな、なんて思いながらぼんやりと その後ろ姿を見送る
このコートも、いつも騒がしい友人が防寒着を何もつけていない僕に慌てて渡してくれたもので……
この耳あては、優しい後輩が耳が真っ赤だった僕に すごく焦って渡してくれたもの
その1つ1つが持つ暖かさがじんわりと、冷え切った体に…胸の奥にしみていくような……
もう、寒くない
【あたたかいね】
何かを人と一緒にするのが好きだった
みんなで協力して、みんなで努力して、何かを成し遂げることが、好きだった
今の私にはもう、出来ないし、感じることも出来ない感情だけど…
叶うのなら、いつか、また昔のように、みんなで互いを信じたい
そう願うくらいは、かなってほしいと祈るくらいは…
どうか、許して
【君と一緒に】
3、2、1
「…あけましておめでとう」
ポツリと呟いた言葉は、誰もいない真っ暗な空間に虚しく消えた
肺が凍ってしまいそうなほど冷たくて、刃物のように鋭い風が、体の熱を奪っていく
「………」
覗き込んだ街の夜景はキラキラと輝いていて、いっそ憎らしいほどに綺麗だ
「………終わりにしよう」
気持ち程度の低いフェンスを乗り越えて
「さようなら、世界」
そしてみなさま!【良いお年を】
たくさん思い出がある
私の家の庭で3人で雪だるまと雪うさぎ作ったこと
…ちゃんの家の庭で鎌倉となんかスケートみたいなのと滑り台作ったこと
公園で3人で雪合戦したこと
覚えきれないくらい、たくさん、たくさん
いつから…みんなと居るのが" 楽しい "じゃなくて、一人が" 楽 "になった?
いつから、休みが、楽しい遊びの時間じゃなくて、苦しみから逃げる時間になった?
変わってほしくなかった、変わりたくなかった、けれど、それでも変わってしまった
【冬休み】
大切で愛おしい時間
…美しく綺麗な記憶、
永遠であればと、どれほど、何度、願ったか
それでも時間は待ってくれない
場所も、時間も、人も、関係も
全部全部変わっていって
楽しい今は、どんどん過去になってゆく
それでも…
変わらないでと、願わずにはいられないから
【変わらないものはない】