遠野

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12/27/2023, 11:30:19 AM

この世は無常だ。そう思えば期待せずに生きることができる。

そんな信条でいるからか、俺はカメラで一瞬を切り取るのを好む。
二度と訪れない空気を閉じ込める、と言うとキザったらしいが。


だが最近、「俺」を揺るがす変化が起きてしまった。
君の存在だ。
モニターに映る姿を見ると、一瞬では物足りないと欲が出てしまう。

勘違いしないでほしいが、君の不変を望んでいるのではない。変化の永遠を君と共に…

こんなはずではなかった。


「変わらないものはない」

12/24/2023, 6:01:06 PM

カーテン越しの月明かりも良いけれど、漆黒の夜も味わい深く、美しい。

雲一つない星月夜。いつまでも見ていられるわ。
貴方がいてもいなくても。

ところで。いまごろ、サンタさんは世界中を飛び回っているのかしら。
こんなに澄んだ夜空を駆けるのなら、よそ見にはくれぐれも気をつけて。

心配したって、サンタクロースはこどものため。
イブなんてかこつけて、夜にもたれる私は悪い子ね。


「イブの夜」

12/24/2023, 5:12:52 PM

今日は珍しく賭けに出た。
事の発端は、僕の好きな画家が久々に個展を開くと耳にしたこと。

ああそういえば、あの子も興味があるって言ってたっけ。

自分でも驚いた。…いや、でもこれはチャンスだ。
思い立った、いや思い出したなら吉日、考えつくままに文章を打った。


メッセージを送って二時間経過。
……既読がつかない。
普段なら大体返ってくる頃なのに。
…まあ僕も、結局二時間かかったし、おあいこか。

クリスマスも近いし。
プレゼントはあなたと過ごす時間が欲しい、なんてね。


「プレゼント」

12/23/2023, 8:01:09 AM

ゆずを買ってきた。
私はゆず湯にしか使わないから、買うのは一年ぶり。
まあ今どき冬至を意識する人は珍しいのかもしれないが、ゆずの香りを楽しむにはお風呂がうってつけなのである。


湯船に浸かりながら、ゆらゆら浮かぶゆずを手に取る。
ごつごつした皮は少し押したぐらいではびくともしない。気持ち強めでむにむに。

そして香りを思い切り吸い込んだ。

酸っぱい…でもレモンよりは芳醇で甘い、くすぐったいような香り。
ほこほこぽかぽか、どこか懐かしい。
今度の君へのお裾分けはゆずにしようかな。

冬至、良い文化。


「ゆずの香り」

12/21/2023, 4:42:03 PM

芝生に寝転んで空を見上げてみたいという、ささやかな夢が叶った。

クッションのような雲がゆっくりと流れてゆく。

隣にいる君は、空に溶けてしまいそう、と。
あてもなく伸ばすその手を見習って、自分も空へ手のひらを掲げた。

このまま吸い込まれそうな気分だ。
でも待てよ、逆に手が吸い込むというのも面白くはないか?
ふとそんなことを思い立ち、未だ雲を掴むそぶりをしている君にアイデアを話してみる。

こんなにも大きな空を吸えたなら何だってできそうね!


もう君が大空で間違いないや。


「大空」

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