芝生に寝転んで空を見上げてみたいという、ささやかな夢が叶った。
クッションのような雲がゆっくりと流れてゆく。
隣にいる君は、空に溶けてしまいそう、と。
あてもなく伸ばすその手を見習って、自分も空へ手のひらを掲げた。
このまま吸い込まれそうな気分だ。
でも待てよ、逆に手が吸い込むというのも面白くはないか?
ふとそんなことを思い立ち、未だ雲を掴むそぶりをしている君にアイデアを話してみる。
こんなにも大きな空を吸えたなら何だってできそうね!
もう君が大空で間違いないや。
「大空」
人が鳴らすその音は、誰かが何かを伝えたい証
風が鳴らすその音は、世界に届ける晴れやかな心地
送り手と受け手
ふたりいなくても成り立つけれど、ふたりの方が嬉しい
ベルの音は、人と人とを繋ぐメッセンジャー
そこまで書いて筆を置いた。
ベルが鳴る。
この音は、あなたが来てくれた合図。
足取りは 弾むようで、軽やかな。
「ベルの音」
見てみぬふりをするくらいなら、私は寂しさと共に生きていく。
今までもこれからも、あなたが私の一部なことに変わりはないから。
ああそうだ これだけは覚えておいてね。
どれだけ寂しくなったって、あなたのこと、忘れてなんてやらないわ。
「寂しさ」
もしもし。こんな時間にごめんね。
明後日会えるのが楽しみすぎて、ダメ元で電話しちゃった。
正直出てくれるなんて思わなくてびっくりしてて…え君も電話しようと?
起こしちゃったかなって思ったから…以心伝心だね。
嬉しい。
最近いろいろ検索してて、面白そうなイベントたくさん見つけたんだ。
ここ君と一緒に行ったら楽しいだろうなーってところばっかでさ。
でも、出かけたいって言っておいてなんだけど…家でゆっくり過ごすっていうのもやりたいんだけど、どう?
その、布団でくっついてごろごろしたい…僕はね。
ほらこの冬は久しぶりに一緒にいられるからさ。
…どうでしょうか?
「冬は一緒に」
初めて一人で来たの。
本来ならばいたはずの、あなたがいないから、しょうがなく。
甘やかな雰囲気をちらりと見つつ、言葉少なに光の中を歩む私たちは、側から見たら変わっていたでしょう。
でも。私の心に幸福は、静かに、確かにあったことを、他でもないあなたに伝えたいのです。
かつて繋いだ手の温もりが薄れてゆく前に。
いつのまにか、ツリーの前に立っていた。
ああ、こんなにも眩しいものだったかしら。
あなたが隣にいる時は、なんというか、輝いているのに。
とっくに視界は滲んでいたけど、目を見開いた。
私、イルミネーションはあなたと見たい。
「イルミネーション」