遠野

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12/21/2023, 4:42:03 PM

芝生に寝転んで空を見上げてみたいという、ささやかな夢が叶った。

クッションのような雲がゆっくりと流れてゆく。

隣にいる君は、空に溶けてしまいそう、と。
あてもなく伸ばすその手を見習って、自分も空へ手のひらを掲げた。

このまま吸い込まれそうな気分だ。
でも待てよ、逆に手が吸い込むというのも面白くはないか?
ふとそんなことを思い立ち、未だ雲を掴むそぶりをしている君にアイデアを話してみる。

こんなにも大きな空を吸えたなら何だってできそうね!


もう君が大空で間違いないや。


「大空」

12/20/2023, 3:52:55 PM

人が鳴らすその音は、誰かが何かを伝えたい証

風が鳴らすその音は、世界に届ける晴れやかな心地

送り手と受け手
ふたりいなくても成り立つけれど、ふたりの方が嬉しい

ベルの音は、人と人とを繋ぐメッセンジャー



そこまで書いて筆を置いた。

ベルが鳴る。
この音は、あなたが来てくれた合図。

足取りは 弾むようで、軽やかな。


「ベルの音」

12/19/2023, 3:54:58 PM

見てみぬふりをするくらいなら、私は寂しさと共に生きていく。

今までもこれからも、あなたが私の一部なことに変わりはないから。


ああそうだ  これだけは覚えておいてね。
どれだけ寂しくなったって、あなたのこと、忘れてなんてやらないわ。


「寂しさ」

12/18/2023, 5:19:51 PM

もしもし。こんな時間にごめんね。
明後日会えるのが楽しみすぎて、ダメ元で電話しちゃった。
正直出てくれるなんて思わなくてびっくりしてて…え君も電話しようと?
起こしちゃったかなって思ったから…以心伝心だね。
嬉しい。

最近いろいろ検索してて、面白そうなイベントたくさん見つけたんだ。
ここ君と一緒に行ったら楽しいだろうなーってところばっかでさ。

でも、出かけたいって言っておいてなんだけど…家でゆっくり過ごすっていうのもやりたいんだけど、どう?

その、布団でくっついてごろごろしたい…僕はね。

ほらこの冬は久しぶりに一緒にいられるからさ。
…どうでしょうか?


「冬は一緒に」

12/14/2023, 3:52:10 PM

初めて一人で来たの。
本来ならばいたはずの、あなたがいないから、しょうがなく。

甘やかな雰囲気をちらりと見つつ、言葉少なに光の中を歩む私たちは、側から見たら変わっていたでしょう。
でも。私の心に幸福は、静かに、確かにあったことを、他でもないあなたに伝えたいのです。
かつて繋いだ手の温もりが薄れてゆく前に。


いつのまにか、ツリーの前に立っていた。
ああ、こんなにも眩しいものだったかしら。
あなたが隣にいる時は、なんというか、輝いているのに。

とっくに視界は滲んでいたけど、目を見開いた。

私、イルミネーションはあなたと見たい。


「イルミネーション」

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