淡い乳白色。
夜空にぽっかり空いたまあるい穴。
それはこちら側を見ながら、あちら側を映している。

「お題　moonlight」#68

嫌い嫌いと言う君のことを、大好きなわたしができる事はないのかもしれない。
今日この日、この時、君のために何ができるのか、ずっとずっと探し続けてる。
側にいられたら、とても簡単なのに。
ギュッと抱きしめて、優しく頭を撫でて、「頑張ってるね」「偉いね」そう言えるのに。
ねぇ、今日だけでも、叶えられないかな。

「お題　今日だけ許して」#67

いつも、頭の中で声がする。
私であって、私じゃない誰か。
時にそれはキャラクターだったり、時にそれは赤の他人だったり。
姿、声、性格。
全部バラバラ。
褒めたり貶したり罵倒したり、慰めたり正論だったり物語だったり。
意味のある事無い事。
つらつらつらつら喋り続ける。
頭の中はいつだって言葉でいっぱい。
降り続ける思考の洪水は、今日も私を溺れさせている。
息のしようもない程に。

「お題　誰か」#49

まだ遠い。
追いつくまでの距離は計り知れず、追いつきたくても影さえ見えない。
努力しても足りない。
足りない、足りない、足りない、足りない。
いつからか苦しさだけが肺を、脳を埋め尽くす。
本当はこんなものじゃなかった。
思い出そうとしても、靄にかかったように、もう思い出せないもの。
それでもそれは、今も尚走り続ける為に必要なもの。
その筈なんだ。

「お題　遠い足音」#62

命が色付く。
なのにどうして、こんなにも悲しいのだろう。
あの頃は全てが鮮やかに見えた。
足で踏み、音で楽しんだ。
なのに今は。
ただ枯れ落ちる葉の速度だけを追っている。

「お題　秋の訪れ」#44