煌めく星々の、その美しさの一つに、きっと私はなれないのでしょう。
大空を濃く、深く、染め上げた真夜中の神秘には、きっと辿りつけないのでしょう。
煤けた灰被りの私は、広大なキャンバスから流れ落ちて、粒子の摩擦熱によって溶かされ散り散りなってしまうのでしょう。
その時私は、何かを成したと言えるのでしょうか。
「お題 Midnight Blue」#14
差し出された手を取った。ふわりと体が持ち上げられ、足が地面から離れる。
刹那、君の目に私が映る。
煌めく瞳の中、未知の世界に胸躍らせる笑みを浮かべた、少女の顔がそこにはあった。
さあ!行くよ!
嬉々とした君と、私は空を目指した。
「お題 君と飛び立つ」#13
あの時の感動。
あの時の興奮。
いずれ忘れてしまい、誰も思い出さなくなっても。
この世界はきっと、憶え続けているのでしょう。
「お題 きっと忘れない」#12
君が泣いていたから、どうしたの?と聞いた。
そしたら、とても痛くて泣いてたの、と、か細い声で返事がきた。
どこが痛いの?と再度聞いてみると、ここが痛むの、と胸の真ん中に君は手を当ててみせる。
どのくらい痛いの?と聞くが、泣いてる時点で相当の痛みなのは想像に難くない。
ん〜と、お姉さんと同じぐらいかな?と君は言う。
意味が分からない、私は何処も痛くなんかない。
だって、お姉さんも泣いてるよ?何処か痛いんじゃないの?
不思議そうに私を見つめている君の、幼い顔が、酷く歪んで見えるのは何故なのだろう。
「お題 なぜ泣くの?と聞かれたから」#11
カランコロン、カランコロン。
近くて遠い下駄の音が、今日は側で聞こえる気がする。
夏の青空を見ながら微笑んでいた母の顔が、今でも鮮明に思い出される。
カランコロン、カランコロン。
2足の下駄が音を鳴らして石畳を進んでゆく。
カラン。
立ち止まったのは、見慣れてしまった墓石の前。そこに刻まれた母の名をそっとなぞるとほんの少しざらついた粉末状の汚れが、指先に付着する。
持ってきた掃除用具を使い、丁寧に掃除する。年に一度の親孝行。
仕上げに線香と、花屋で選んだ花を供える。
もっと母さんと一緒にいたかった。
そんな思いを両手で包み、1人帰路に立つ。
カランコロン。
1足の下駄が、石畳を進んでいく。
「お題 足音」#10