お題『どうすればいいの?」
夏季補習生の発表が職員の掲示板い貼られた金曜日の5時限終了後の休憩中、僕は授業で出題された宿題をしていた。その時血相変えた大神が僕の席に来て勢いよく机を叩いた。そして珍しく落ち込み、吊り上がった眉がハの字になって悲しい顔を僕に向ける。
僕はかける言葉を探した。
船星「どうしたの?」
大神「聞いてくれるか船星!俺な、これからどうしたええと思う?」
疑問を疑問で返されても、全く理解出来ないでいると生徒Aが大神に変わって説明してくれた。どうやら大神の名前が夏季補習生の中にあったらしい。夏休みは全てバイトに費やすつもりだったみたいで今更バイトのシフトを変更して貰うのは難しいかも知れないと嘆いている。
船星「僕にどうすればいいか聞かれても困るよ。ここは素直にそのバイト先に説明して、シフト変えて貰うしかないんじゃないかな」
大神「せやな。俺、頑張って交渉してみるわ。ありがとう。あ、そう言えば、職員室の廊下で萌香(子猫)ちゃん見たで、なんや悲しんでたり、喜んでたり。表情コロコロ変わって忙しいそうやったわ(笑)」
船星「そ、そうなんだ。あの子も補習生なのかな?」
大神「分からんわ。俺ら名前知らんしな」
チャイムが鳴り休憩が終わった。そして6時限が始まった、僕は慌てて宿題を机の中にしまい教科書を机の上に置くのだった。
End
お題『宝物』
※自作キャラ達に再びインタビューしてみました。キャラクターも増えましたし……。
作者『あなたの宝物はなんですか?』
萌香「マミィから譲り受けたペンダント」
真珠星(すぴか)「小学生の時白鳥(しらとり)さんから貰った押し花のしおり」
委員長(かろん)「家族(祖父母)かな」
船星(ふなぼし)「最初で最後の家族旅行の写真です」
大神「小学生の時に獲った優勝トロフィー」
生徒B(まるた)「サイン入りサッカーボール」
生徒A「スパイク(バスケ用)」
校長「あ、またインタビューですか。えっと……妻には内緒で買った名水が湧き出る壺です」
作者『え?水が湧き出る壺!?校長それ詐欺ですよ。実際に水湧き出ました?」
校長「まだですけど……私、騙されたんですか?」
作者『絶対騙されてます。早くクリーグオフして下さい!』
校長「そ、そんな!?無理ですよ。もぅ30年も前に買ったものですし(泣)どうしましょう〜」
作者『私に言わないで下さい(他にも騙されて買っていそうだな)今後怪しいモノは買うのをやめればいいだけですよ。校長』
校長「そうですね。気をつけます。あ、そう言えばこの前家族が幸せになるという水晶が買える広告を見つけましてね……」
この後永遠と校長は水晶について語り出した。
作者は逃げるようにその場を去ったという。
萌香「今回のインタビューを終わりまぁす!」
End
お題『キャンドル』
夕方になって大神達は家に帰って行った。
誤解を解く為僕は思っている事を正直に大神に話した結果、彼の解釈はやはり僕はあのBBQの時、萌香(子猫)ちゃん達に「“ナンパ“しようとしていた」という事になってしまった。
船星(ふなぼし)は大きく溜息をついて、客間とキッチンを掃除している。
船星「あのやり取りはなんだったのだろう。今日はすごく疲れた」
掃除が終わり、愚痴をこぼしながらリビングへ向かい北欧風デザインの三人掛けソファの真ん中に座った。
手前には大理石風の楕円形ローテーブルが置かれその上には母親がインテリアとして鹿の形をしたキャンドルが飾られている。
船星はそう言えばと思い、ソファから立ち上がりTV台にある引き出しからマッチの箱とアロマキャンドルを取り出した。それを楕円形テーブルの上に置く。
マッチ箱からマッチを1本取り出しマッチ箱の側面についている側薬(そくやく)を擦り、火を起こす。マッチに火が点き今度はアロマキャンドルに火を点ける。マッチの火を手を仰いで消し水の入った、コップへ移す。
しばらくするとアロマキャンドルからほんのり森林の香りがしてきた。
僕は少し部屋の明かりを暗くてアロマキャンドルの中の小さな火をぼんやり眺めることにした。
End
お題『たくさんの想いで』
休日明けの月曜から1学期の期末テストの結果が教科ごとに順次返却され、本日金曜日の昼休み休憩後に夏季補習生の発表が職員室前の掲示板で張り出されることになった。萌香達は5時限終了後10分という短い休憩を使い職員室前の掲示板を見に来ていた。
萌香『どうか、補習生に入っていませんように』
萌香は心の中で祈りっている。掲示板から少し離れた距離で真珠星(すぴか)達は萌香を見守っていた。
返却されたテストの結果を見れば、掲示板へ行かなくても一目瞭然なのだが、安心感を得たいのだろう。萌香と同じように数人ほど自分の名前を探している。
5分後俯いた顔で萌香は戻って来た。心配になった委員長が萌香に声を掛けた。
委員長「輪通(わづつ)さん、どうだったの?」
萌香は顔を上げ委員長の問いに答えた。
萌香「……名前……あった」
真珠星「本当に?」
萌香「うん……。やだよ〜補習〜」
萌香は涙目になって真珠星に抱きついた。
真珠星はやれやれと言わんばかりに萌香の頭を撫でる。委員長が優しく萌香に声を掛けた。
委員長「輪通さん、補習が終われば夏休みが始まるじゃないの。予定が合えば一緒に遊びましょう。私(わたくし)輪通さん達とたくさんの想いでを作りたいわ」
萌香は委員長の言葉で元気を取り戻し、真珠星から離れ委員長の両手を握りぶんぶんと上下に振りながら感謝していた。
End
お題『冬になったら』
双子の姉からの手紙の書き出しは大体決まっていた。
『“春“になったら〜』、『“夏“になったら〜』、『“秋“になったら〜』と四季が入っている。
今回届いた手紙の書き出しは『“冬“になったら』
だった。今、季節は夏真っ盛り。季節外れにも程がある。手紙の内容はこうだ。
『愛する妹へ 冬になったらあなたは何をしていますか?私(わたし)は雪で雪だるまや、かまくらを作るのが好きです。もう15歳になるのに子供っぽい遊びをするでしょ(笑)だって田舎だもの。この前、村の集会で長老達が話している内容を偶然聞いてしまいました。私は16歳の誕生日に見知らぬ男性と結婚させるらしいのです。村の掟に基づいて。………助けて!可崘(かろん)私はまだ結婚したくない!それに彼氏もいるのよ!お願い!!助けて!!』
最後に書き殴った文字を見て私(わたくし)は怒りと寒気がした。
【私(わたし)の代わりになって】
冬になったら私は16歳になる、その時私の未来はどうなってしまうのかしら……。
End