よつば666

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10/22/2024, 9:25:27 AM

お題『声が枯れるまで』

 声が枯れるまで力いっぱい屋上から叫んでみたら
グランドにいた全員がこちらを見たの。

びっくりしたわ。一目惚れした彼にしか叫んでいないつもりでいたのに……。

隣にいた友達にどうしてみんなこっちを見たのか聞いてみたら

「そりゃそうでしょ。『おーい。おーい!そこの生徒〜』なんて言えば皆んな見るっしょ!バカやってないで萌香も頭下げて!!」

そう言って友達は屋上から皆にペコペコと頭を下げていたわ。
その後すぐに屋上に来た生徒指導の先生に腕を引っ張られ指導教室に連れて行かれたのは友達の方だった。

友達は声が枯れるまで抵抗しあたしの名前を叫んでいた。

『先生!私じゃないって〜〜!!萌香だって!!聞いてよ〜」

警察に捕まった時の犯罪者のような姿だとあたしは思うのだった。

End

10/21/2024, 5:59:32 AM

お題『始まりはいつも』

 始まりはいつも突然やって来る。
誰も予想なんてできない。
そう、【恋】の始まりはいつもひとりでにはじまるの。

あたしの恋はいつもビジュアルから始まってしまう。

「あの人かっこいい〜」

昼休み学校の屋上でクラスメイトの友達と昼食を食べながらグランドを眺めていたら誰かも分からない生徒を発見しあたしの目に止まった。

End

10/20/2024, 8:56:30 AM

お題『すれ違い』

 見間違うはずがない、この絵画と同じ見た目は白いドア。だけどドアの下の方に黒いシミが付いているのが俺の部屋である証だ。
小学生の時、図工の授業で絵を描いていた。授業終了のベルが鳴り担任が

『時間内に完成出来なかった人《生徒》は宿題です。持って帰って家で完成させてから“明日“提出して下さ〜い』

と生徒全員に聞こえる程の大声で言った。
俺は完成することが出来なかったので宿題になってしまった。家で色付けを水彩絵具していた時、汚れた水を洗面所で替えようとして何かに足首が引っ掛かり転んでドアの方に水をぶちまけた。その結果がドアの下に付いたシミである。
どうして俺の部屋が描かれている?
複製画とはいえ、〔白い扉〕という作品に黒いシミなんて描かれていないのを俺は思い出した。

その絵から黒く伸びた影が出てきた。それはだんだん伸びていき、手の形となって俺の目の前に現れ、Tシャツを掴んだ、払おうとしても影の力が強く俺は絵の中に引き込まれてしまった。

目が覚め辺りを見渡すとそこは俺の部屋だった。

「夢だったのか!?」

ドアを開け部屋を出た瞬間、黒い影が俺の横を通った。そのすれ違いざま影はボソっと呟く。

『良かった……間に合った。お帰りなさい。過去のオレ』

End


10/19/2024, 4:58:59 AM

お題『秋晴れ』

 探索した結果。オブジェ部屋にはマネキン(崩れてしまった)や石像の他に乱雑に床の上に置かれた絵画をいくつか発見した。

一つ一つ絵画を見ていくと……。
有名な画家が描いた作品であることがわかった。
黄色い背景に黄色の花瓶その花瓶の中に、数本の向日葵が描かれ、作品全体がほぼ黄色い〔ひまわり〕や秋晴れを感じさせる〔秋、積みわら〕などが見つかった。

本物であるはずがない。本物は世界一厳重な防犯セキュリティーが設置された場所に保管されているに違いないと俺は思っている。どれも複製画だろう。
それでも作品(絵画)を使ってドアを作るには無理あるように感じる。
悩んでいると、他の絵画中で一際大きいサイズの絵画を見つけた。
俺は少しづつゆっくりゆっくりと【東】の壁へ寄せていく。【西】側に乱雑に置かれた他の絵画はとりあえずマネキン達のいる【北】側へ追いやることにしよう。二つ、三つと小脇に抱え移動させていく。
最後の一つ青紫が綺麗で月がとても映えるドビッシー作〔月の光〕は【西】側の壁の方へ残したままにした。
ようやく片付いた一際大きい絵画を【東】の壁に立てかける。

白くてまるでそこに元々存在していた様に部屋に溶け込んでいる。
ハンマースホイ作の〔白い扉〕もうこれがドアの代わりでいいじゃないかと思った。
俺は自分の目を疑った、絵画の中央に開いた扉の先に小さく描かれた部屋が見える。
それは身に覚えのある部屋だった。


End

10/18/2024, 6:29:04 AM

お題『忘れたくても忘れられない』

 「えっ!?は?どういうこと!?」

突然、光出した右手は少しづつ身体全体を覆っていた。ゲームに勝った者に渡される賞品か?
だとしたらドアが欲しかったよ。
強制参加とはいえマネキン達とだるまさんがころんだゲームをしたことは忘れたくても忘れられない不気味で不思議な体験であることは間違いないだろう。

静けさの戻ったオブジェ部屋を久しぶりに俺は探索し始めた。
久しぶりという感覚は可笑しいはずなのに、ついさっきの出来事から今だ興奮状態の解けない俺の脳がそうさせている。
未来からの手紙に書いてあった俺の言葉を思い出せ。

『冷静になれよ!』

そうだ、冷静を取り戻せ。
俺は目を瞑り深呼吸した。すると身体を覆っていた光は身体の中に入っていきあっという間に消えてなくなった。
あの光は一体なんだったのだろう。RPGでいうバリアーみたいなもんかな等と中学2年生じゃない、21歳の俺は中二病なことを考えていた。

End


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