お題『すれ違い』
見間違うはずがない、この絵画と同じ見た目は白いドア。だけどドアの下の方に黒いシミが付いているのが俺の部屋である証だ。
小学生の時、図工の授業で絵を描いていた。授業終了のベルが鳴り担任が
『時間内に完成出来なかった人《生徒》は宿題です。持って帰って家で完成させてから“明日“提出して下さ〜い』
と生徒全員に聞こえる程の大声で言った。
俺は完成することが出来なかったので宿題になってしまった。家で色付けを水彩絵具していた時、汚れた水を洗面所で替えようとして何かに足首が引っ掛かり転んでドアの方に水をぶちまけた。その結果がドアの下に付いたシミである。
どうして俺の部屋が描かれている?
複製画とはいえ、〔白い扉〕という作品に黒いシミなんて描かれていないのを俺は思い出した。
その絵から黒く伸びた影が出てきた。それはだんだん伸びていき、手の形となって俺の目の前に現れ、Tシャツを掴んだ、払おうとしても影の力が強く俺は絵の中に引き込まれてしまった。
目が覚め辺りを見渡すとそこは俺の部屋だった。
「夢だったのか!?」
ドアを開け部屋を出た瞬間、黒い影が俺の横を通った。そのすれ違いざま影はボソっと呟く。
『良かった……間に合った。お帰りなさい。過去のオレ』
End
10/20/2024, 8:56:30 AM