お題『放課後』
半信半疑で俺は再びカーテンの方へ向き直った。
そして3秒数える。
「1、2、3」
3秒経った瞬間マネキン側へ振り向く。
「!?気のせいじゃ……なかった」
数体のマネキンが僅かに動いていた。
このまま振り向かずにいたらマネキン達に押し潰されてしまう。
ん?ちょっと待ってくれ。なんだか知っているぞ!
あれだ!あの遊びによく似ている。
小学校の低学年だった頃、俺のクラスでは小学校のグランドで放課後、暇な奴ら集めて皆んなで【だるまさんがころんだ】をしていた。
つまりだ、俺はマネキン達からだるまさんがころんだゲームに強制参加されたってことかーーーー!?
End
お題『カーテン』
オブジェ部屋にもカーテンはあった。
【東】の方角に壁に埋め込まれたカーテンレール、そして上から緑色→黄色→最後は白色といったグラデーションに色が分かれた綺麗なカーテンがかかっている。開けてみるとやはり窓はなかった。
一体このカーテンは何を表しているのか、考えてもわからないがこれもヒントなのだろうと俺は開けたカーテンを閉め直し、数体いるマネキンとマリア像の方へ体を向くと、目線が皆、俺に向けてられている。
俺がマネキン達から背を向けた瞬間動いている気がするのは気のせいだろうか。
End
お題『涙の理由』
先ほどドアを作ると決めた俺は、真実の口のオブジェや石像の置いてある部屋に移動しようと思い、南壁から4つめの黒い点を見つけ指で穴を開けた。
そしてその中心には隣の部屋(オブジェ部屋)との壁が一切ないと判断した俺は壁紙を蹴破り、見事移動することに成功した。
成功したがこのオブジェ部屋にはドア作りに適した材料はあるのだろうか。
そう思い部屋の探索をする。
マネキンに混じって聖母マリアの石像を発見した。
マリア像の両目からスーッと赤い血の涙が流れている。
この涙の理由を数年前にネットで知った。
どうやら「災いの前兆」や「世界で起きる未来が悲劇であることを伝えている」らしい。
もしかしてこれから俺に災いや悲劇がやって来るのだろうか……。
End
お題『ココロオドル』
真実の口のオブジェから言われたことが頭から離れない。
『部屋から出るには何がいるのか』
俺は思考を巡らせ、そして閃めいた。
この感情はとても言葉では言い表せないほどココロオドルような気持ちだ。
小学生の時、図工の授業にも似た感情があった。何を作ろうか。どんな作品を、どんな絵を描こうかと心躍らせながら考えたもんだ。
今から俺は脱出する為に〔ドア〕を作ろうと思う!
End
お題『束の間の休息』
南の壁一面を舐め回すように黒い4つの点を探しては指で穴を開けての作業をして、ようやく3つめの穴を開け終えてしばらく経った頃、俺は束の間の休息を取っていた。
休憩を取っている場合ではない気がするが、目と指の疲れが半端ない。
「俺も歳だな(苦笑)」
なんて独り言を呟くと……
『20代前半の若者が何を言っとるんじゃバカもの!?』
「えっ?!な、何?誰!?」
部屋の辺りを見渡しても姿が見えない。
『あぁ、こっちこっち。お前さんが穴を開けた場所を覗いてみろ』
言われるがまま覗き込んだ。
すると隣の部屋が見えた。マネキンや石像が沢山置かれた部屋のようだ。
『そっちじゃない、ま〜っすぐを覗くんじゃよ』
声の主は俺が見てる場所がわかるらしい。
素直に従い覗くと、真実の口のオブジェがパクパク口を開け閉めしている。
『お前さん今の部屋から出たいだろう』
「もちろん」
『簡単じゃよ。部屋から出るには何がいるのか考えてごらん』
そう言って真実の口のオブジェは目を閉じて話さなくなった。
End