誰よりも貴方を見てる。
誰よりも貴方を考えてる。
誰よりも貴方を知ってる。
誰よりも貴方を愛してる。
だから、私は貴方に近付いてはいけない存在。
〜誰よりも〜
『
鉤括弧の始め。言葉を発さんとする始め。
頭の中で始めから終わりに繋がる文章を組み立てていく。
果たして本当にこの言葉で合っているのか。
私の発する言葉におかしな点は無いか。
何度も組み立て直しては意味を確認して。
やがて自分が伝えたかったこととは全く違う文章が頭の中に出来上がっていて。
『 』
〜空白〜
〜オアシス〜 ※残酷描写注意
僕はいつだって1人だった。
教室に行けば何の根拠もない私を貶める言葉を囁かれ。
家に帰ればテーブルに【食費】というメモと共に紙幣が置いてある。
だけど別に悲しくはない。
僕は昔から口数が少なく、そんな僕から離れていくなんて当たり前のことで。
それでも僕はこうして生きていられるんだから、周囲と馴れ合う必要なんてないんだ。
そんな僕の考えはあの日を境に変化していった。
朝のHR、担任が「転校生の紹介を…」と話し終わる前に教室中の生徒がワッと声が上がって盛り上がる。
僕は心底どうでも良い、そう思いながら窓の外を眺めていた。
騒がしい耳からの情報を右から左へ聞き流し、木に留まっている小鳥をボーッと眺める。
不意に僕の肩が何者かの指で突かれ、身体がビクリと反応する。
どうやら突いたのは転校生らしく、僕の後ろの席で授業を受けること、これから仲良くしたいという旨を伝えると僕に笑顔を向けて席についた。
彼女は明るい性格ということもあり、すぐにクラスに馴染んだ。
クラスの皆んなから好かれ、常にクラスの話題は転校生の話しで持ちきりだった。
…以前までは僕を貪り食っていたハイエナのくせに。
いつも通り、僕は教室の席からボーッと窓の外を眺めていると後ろから背中を突かれる。
僕が少し不満気な顔をしながら後ろを見ると、転校生が笑顔で手を振ってきていた。
僕はすぐ、どうでも良いといったように教室の前を向いた。
………動悸が早くなる。顔が熱い。
毎日のように転校生が向けてくるあの笑顔で僕の乾き切った感情が潤っていくような感覚。
ずっとあの笑顔を見ていたい。
クラスのハイエナ達に渡したくない。
「ずっと僕だけのオアシスで居てよ」
気付いたら僕は転校生を拘束して自分の部屋へと連れ込んでいた。
拘束された転校生は、僕が近づくと恐怖の表情を僕に向けてくる。
…違うよ、君が僕に向けて良いのはそんな表情じゃない。
潤っていた感情が乾いていく。
僕は慌てて転校生の口端に指を当てて笑顔を作らせようとする。
しかし、それも逆効果だったらしく、転校生は更に恐怖した顔を僕に向けた。
…これ以上はダメだ。また干からびてしまう。
僕は転校生の首を体からノコギリで切断した。
死後硬直を起こす前に、指で転校生の口端を抑えてグッと押し上げる。
切断し終わった転校生の頭は、自分の部屋の机上に飾ることにした。
転校生の笑顔がずっと僕に向けられている。
僕の感情が体の奥から潤っていく感覚。
「僕だけのオアシス」
私が死んだとき、周りの人は悲しんでしまうだろう。
それがとても怖い。
もしも私が過去へ行けるのなら
まだ思い出の少ない、幼い自分を殺すでしょう。
「ご確認をお願いします」
僕はそう言われ、とある部屋に通される。
私の前には顔に白い布が被せられ、仰向けに横たわっている人が居た。
ゆっくりとその人の近くに寄ると、指で白い布の端を摘んで捲っていく。
そこには愛しい彼が居て。
私は涙が流れそうになるのを感じて、天井を見上げ深呼吸をする。
何となく、そんな私の姿を見て笑っている彼が近くに居るような気がして。
私は目に涙を溜めながら微笑んで再び彼を見る。
彼の隣でまた馬鹿みたいな話をして、2人で笑い合う。
そんな人生をもう一度歩みたい。
「またいつか…」
そう口にすると彼の気配が遠ざかって、それでも何処か繋がっている、そんな気がした。
〜「またいつか」〜