ぼくは戸川 日向。中学三年生。
今日はぼくが好きな冬水 百さんと一緒に帰れることになった。
いつも以上に上機嫌だった。
体育の後で、教室へ戻ろうとした時、勢いあまって廊下で派手にずっこけた。
たくさんの人に見られたし、痛かったし、恥ずかしかったけど、君が笑ってくれたのを見ると、「もうなんでもいいや」ってなっちゃったよね。
下校時刻。君と校門の前で待ち合わせた。
「ごめんね戸川さん、傘使わせてもらって」
「いや、全然いいよ」
その日、百さんは傘を持ってこなかった。いや、持ってきていなかった。
一緒に帰ろうとしたそのとき、急に雨が降り出した。
(これはチャンスだ)
そう思った。
ぼくはちょうど傘を持ってきていたので、きみを傘の中に入れると、濡れないように引き寄せあった肩が、歩くたびに少しだけ触れる事に毎回ドキドキしたんだ。
「戸川さんそっち濡れてない?大丈夫?」
「ぼくはいいんだ、冬水さんは大丈夫?」
「うん。ありがとね」
いろんな話をした。最近こんなことをした、面白い夢を見た、あの先生のこんなところが嫌だ、なんていうどうでもいい話題ばかりだったけど。
それでもぼくは、幸せだった。
その日ぼくは、自分が女の子だと告げた。
きみから何を思われてもいい。気持ち悪がられたっていい。
ただ、女の子のぼくが女の子のきみに好きだと言えたら、それでよかった。
今ではぼくの事を理解してくれて、恋人になってくれたきみを、隣に立ってくれたきみを、
ぼくは、大好きなんだ。そして、愛しているんだ。
「ねぇ、ひなちゃん。だいすき!」
「うん、ぼくも。ももちゃんだいすき。」
_2023.6.19「相合傘」
「落花」というと、「落花生」を思い浮かべるなぁ。花言葉が「仲良し」って言って、微笑ましい意味だなって思った経験がある。
あ、でも、「落花流水」なんて四字熟語もあるな。確か、散り行く花と流れる水っていう、春の景色を表す言葉だったような。
キミは何を思い浮かべた?
もしかしたら僕と一緒かな。
……まさか、「落花」を「らっか」と読むから「落下」を思い浮かべたりした?
やめてよ、そんな縁起の悪そうなさぁ。
なんか「落下」って縁起悪そうだから、わざわざ僕が「落下」から「落花」にしてあげたのに。
……え、さすがにやめてよね…?
_2023.6.18「落花」
「あなたは将来、何をしたいですか?」
「ああいえ、俺は何も」
したくない。
最初に言っておくか。俺は、高校三年生の、
罪人だ。
俺には未来がない。高校を卒業したら、大学へ行って、ずっとずっと未来なんて考えなくていいように生きたい。
俺の周りにいる人間みたいに、未来が見える奴らはいいさ。でも俺は罪人だ。だから、「大人」がいる社会には溶け込めない。
お前の罪って何だ?
そう思った人間がいるだろう。
俺は、俺の罪は、
「社会」という仮面を被った世界では生きていけない、生きれない、
まだまだ青春を謳歌したかっただけの子供で、「未来」を見たくなくて、見なかった事。
それが、俺の罪だ。
社会という残酷な世界から何を言われても。
ずっと好きなことをしていたい。
俺はここだと叫びたい。
世界に俺という存在を認めてもらいたい。
「未来を見たくない。」ただそれだけなのに、何がいけないんだ。
俺はここにいる、俺を、俺のことを、
知ってくれるだけでいいから。
_2023.6.17「未来」
「1年間というのは、長いようで短い」
君もそう思ったことが一度でもあるんじゃないかな?僕もそうだよ。
君にとっての1年前は、どんなことをした?
友達とおしゃべり?
映画とか観た?
どんな話が面白かった?
あるいは泣ける話だったかな?
たくさん、笑えた?
僕はこの1年あまり笑えなかったな。
というか泣いた。たくさんね。
今でもたまに泣きそうになるんだ。
勝手に僕をおいていくんだもん、君は。
なんでこうなっちゃったかなあ…。
あー…。
僕の側を離れないって言ってくれたのにさ。
_2023.6.16「1年前」
貴方には好きな本がありますか?
ありそうですね。こういう小説を書くアプリを使っている時点で、たくさんの本を読んだ、文才のある方々なのは分かっています。
「貴方の好きな本はなんですか?」
街中でアンケートなどを取られた時、こんな質問があったとします。
私ならこう訊かれたらこう答えると思います。
「たくさんあります」
少々曖昧ですが、「今まで読んだ本に面白くないものはなかった」、といえそうです。単に読んできた本が少ないのでそう思ったのかもしれませんが。
「貴方は今まで読んだ本の中で好きな本はありましたか?」
_2023.6.15「好きな本」