1/21/2023, 9:53:22 AM
なにもない
風も吹かない
深閑の水底で
あなたを見た
解かれてゆく身体は
生まれる前の
記憶に還り
重力も感じられない
交差する時は
止まったまま
見上げれば
瑠璃色の空
深閑の水底で
あなたは眠る
泳いでゆく
水はわたしを包んでいる
生まれる前の記憶を
ひそかに呼ぶように
#海の底
1/18/2023, 6:13:29 AM
一年で一番寒い日に
きみは旅立ってゆく
心配はいらない
ここはもう
春へと向かう道の入口
もう少しの辛抱だ
風が強くたってきみは
きっと泰然としているんだ
木枯らしを背中で受けて
わたしは祈るよ
きみのしあわせだけを
ここで祈るよ
#木枯らし
1/17/2023, 7:07:58 AM
あなたがなにを考えているのか
悩みがあるのかも
どこの誰だかも知らないのですが
誰かを待っているのか
なにかを待っているのか
それもわかりませんが
すっと一本の草花のように
ひっそりと立っている姿に
穏やかな感動をおぼえます
ただ生きて
そこに立っているだけなのに
あなたの命の拍動が見えるようで
なにかいじらしくて
人間という生きものの美しさに
胸を打たれずにはいられないのです
そんなふうにして
わたしはあなたを見ています
あなたがどんな闇を抱えていようとも
わたしには見えています
それは秘められていない美しさ
あなたの気づくことのない
美しさです
#美しい
1/11/2023, 6:48:41 AM
その境目は
どこに
ひとつの区切りがあるわけでなく
深夜0時を過ぎて
日付が変わったとして
それはただ
人間の定義した時間の概念にすぎず
いったいいつ
わたしたちは大人になったの
時が満ちれば
誰もみな到達できる
あたりまえの場所でありながら
その時を生きて迎える
その事実だけしか特別でないなら
その事実こそが
わたしを今も
生かしているに違いない
#20歳
1/10/2023, 7:18:59 AM
闇がため息とともに
白い夜明けに消えた
明けの空にかかる
逆三日月が
胸にしみて焼きついた
爪あとみたいに
白く細く
夜明けは
希望ではなかった
夜明けを
待ち望んだりしなかった
あの頃はまだ
#三日月