生まれた理由を
生きる意味を
誰もが抱く疑問を
先回りして
与えられていた答え
あたりまえだったはずの
疑問も
死に対する恐怖も
あなたは
抱くことなく大人になった
神に反抗して
与えられた枠組みを
打ち壊し
期待もなにも裏切って
あなたははじめて
孤独なあなたとなり
ゼロの場所に立った
もう誰のせいにもできない
いつまでも子どものように
泣いていちゃいけない
すべて空になった苦しみは
これから得るものの価値が
忘れよとさけぶ
忘れよ
そして知れ
すでに自分のなかに
求めていた真実が
隠されているかもしれない
その事実を
#岐路
朝から雨が降りだして
風もごうごううなってる
光が射さないこんな日の
薄暗い部屋におりますと
海の底へと沈むよな
奇妙なほどの静寂に
秘密の時間に迷いこむ
おはなしの中の主人公
孤独はふいに美しく
居心地のよさに眠くなる
ゆらゆらゆれてハンモック
猫をお腹にのせうつら
ざんざんざわめくホワイトの
雨のノイズがループする
#梅雨
じりじりして
すーすーして
春なのか
夏なのか
はっきりしない季節に
誰はばからず
半袖から腕出して
まだ白い腕を
剥き出して
風をきって歩くことの
こころよさ!
あいつもう半袖着てる
この潔さを
なぜだか笑う者に
この清々しさは味わえぬ
解放された素肌が
はじめて息をするように
希望を予感して
風に遊んでいる
#半袖
後悔に
歩みを止め
誰も交わらない時の中で
足元の石に話しかけるとも
それは あなたにはまだ
前途があるからにほかならない
あなたの前には道がある
あしたのために
きのうを後悔してみれば
変わる未来もあるのです
前を向くために
あしたを歩くために
#後悔
かつて敬愛したあなたの
教えに背を向けて
自分の信じるものを
見つけたのでしたが
大人になることの淋しさに
今もまだ慣れません
いつの間にか
あんなに手の届かなかった
あなたという高みが
平行に 横に並んで見えた
そのときの驚きを
なんと言えばよいでしょう
感謝の言葉だけで
過去と決別したわたしを
どうか
許してください
あなたはいつまでも
わたしの先生です
#忘れられない、いつまでも。