地上に生きたすべての人
誰も彼もが
何億分にひとつの奇跡を
身に帯びて生まれ
愛しいものを見つめる目や
自然の音を楽しむ耳や
胸の内を言い表す口は
他の誰でもない
あなた自身の証明であるのに
それを取るに足りない当たり前なことだと
なぜ笑うのです
自分の代わりはいくらでもいると
冷めた口調で自嘲して
現実から消えてなくなることに
ためらいも疑いもしない
奇跡の数字も
科学では捉えきれない神秘も
あなたにはとどかないこの悲しみを
どこにぶつければよいのですか
#世界に一つだけ
自分の生に背を向けて
あなたを心ない言葉で
悲しませた日もありました
幼すぎるたましいで
ひとり泣きながら
時計の針の音に
心臓の動きを重ね合わせ
たしかめていました
この脈打つ鼓動は
あれから一度も止まってはいません
どんなに抵抗しても
鼓動は鳴り止むことなく
わたしを生かし続けてきたのです
胸の音に耳を寄せ
それを抱きしめ愛おしみ
ともに生き抜く覚悟をもって
この鼓動
強い力
わたしを離さない
生命の脈動
#胸の鼓動
無限の時を生きている
そう感じることのなくなる日が
たしかにあなたにも近づいている
生きる価値や意味がみな同じなら
好きなように生きればいいが
思い通りの人生を
送れる人などいないのだ
どこにも答えがないとしたら
この世界は偶然に生まれ
人は偶然に生まれたことになる
虚無に支配されてはならない
希望のない世界に
身をゆだねてはならない
闇にのまれることに陶酔してはならない
あなたの無限はいずれ終わるが
未来に救いはないのだと
誰が決められるだろうか
それだから 目を醒まし
もう自分を欺くのはおやめなさい
#時が告げる
ほんの小さな一文が
心をよみがえらせる魔法になって
ささやきかけてきたので
ほんの小さな一文で
あなたを慕うこの気持ちを
綴ってみたく思います
あなたが何気なく放った言葉の力に
あなたは気づいていないでしょう
それはこの塞がれた胸苦しさを
すっかりほどいてくれるほどに
わたしの深くに届いたのです
これは誰にも明かさない秘密です
人に話せばきっと
言葉の持つきらめきが
失われてしまうだろうから
#きらめき
わたしの足もとを照らす光
それはあなたの言葉
あなたからの光によって
光を見ることができるように
あなたの言葉によって
生かされたわたしもまた
生ける言葉を紡ぐために
言葉は光となり
心に灯をともす
ふたたび消えることのない灯を
#心の灯火