《仮面の下に画した本音を》
「大丈夫だよ!」
いつも君は笑って言う。
お願いされても断らなくて。
どんなに大変な状況でも、涙を流したとしても、
すぐに笑顔を作って「大丈夫」と言う。
優しくて、自分のことより人のことを思ってしまう君。
何でもないよ、なんて言葉もよく聞いた。
頑張らないと、なんて言葉も聞いた。
でもね。
そんな言葉と表情の裏に隠れた本音を聞かせて欲しい。
「苦しい」「辛い」「悔しい」「嫌だ」「悲しい」
そんな言葉を吐き出す場所に、私はなれないのかな?
励ます言葉も慰める言葉もかけるだけ無責任かな。
なら、無言でいいから君の隣で手を握ってあげたい。
抱きしめてあげたい。
君の心に触れたいんだよ。
《運命共同体》
仲間、ってなんだろう。
家族でもなくて、友達でもなくて、恋人でもない。
赤の他人ってわけでもない間柄。
特別な関係のひとつだとは思うけど、独特な関係性。
「運命共同体、ってやつかな」
「なにそれ、かっけー笑」
「身内みたいな赤の他人ってそれじゃない?」
「血の繋がりがない家族的な」
「言えてる笑」
そんなことを思える"仲間"に出会える人は、きっと幸せ者だろうな
《狭間の世界》
自分には《推し》がいる。
年に数回。もしくは年に一回。最悪は年に一度も会えない事もある。
だけど、会えた時のあの高揚感。
同じ場所で同じ空気を吸っていることの喜び。
まさに夢のようなひとときを味わえる。
そして終わったあとの現実感も味わう。
扉一つ。チケット一つ。
夢のような現実の世界で会える喜びも、夢から醒めたような現実感も。
全て教えてくれたのは《推し》だったよ。
《この杯を》
「さよならだけが人生、なんて言葉があるけど。またの再会を約束して、今はこの杯を受け取って」
そう言って君がなみなみと注いだグラスを僕に渡す。
僕はそれを受けとり、笑って、乾杯した。
「さよなら、なんて寂しいから言わないよ」
「そうだね。またいつか」
「うん。約束」
いつかまた、ここで君と笑って酒を飲める日が来る日を願って。今は一度、お互い別の道を歩もうか
《このままずっと》
楽しい時間はあっという間に過ぎる。
「帰りたくないなぁ.....」
そんな呟きも君には聞こえない。
繋ぐ手から伝わる熱が冷めるのが惜しくて。
君の隣を歩く時間が過ぎるのが寂しくて。
「また今度」
その言葉を聞きたくなくて。
終わらせないで欲しいんだよ、この時間を。