瑠璃

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10/7/2024, 11:28:13 AM

《込める力、振るう力》
(刀剣乱舞/和泉守兼定)


「そらよ!」

力を込め、刀を振り、敵を斬る。

かつての主が自分を振るったように、今は自分が自分を振るう。

守るべきもののため、その使命を果たす為。

和泉守は今日も浅葱色の羽織をたなびかせ、戦場を駆け抜ける。

10/6/2024, 10:23:41 AM

《過去を想う》
(刀剣乱舞/歌仙兼定)


「就任九周年おめでとう。一年一年、あるいは一日一日ごとに素敵な景色に出会えたかな。それをこれからも大切にしてほしいな」

めでたく審神者就任九周年を迎えた本丸。

初期刀として始まりから見守り、共に歩んできた歌仙兼定にとっては、長いようで短く思える九年だった。


最初に審神者と会った時は、血を見るのも怖がっていたので、正直、先が思いやられた。

けれど、使命を果たすべく励む姿は日に日に頼もしくなり、今では百を超える刀剣男士を束ねる主となった。


「戦の血なまぐささに怯えてたのが懐かしいものだね」


その言葉に審神者は「忘れて欲しいんだけどな」と笑う。

10/5/2024, 11:05:05 AM

《輝く一等星》
(刀剣乱舞/大和守安定)

冬の寒さが厳しい夜。

ふと夜空を見上げると、輝く星々がよく見えた。


「あ、冬の大三角」

一際輝く三つの星が見える。

あれを冬の大三角と呼ぶのだと審神者に教えてもらってから、冬になると夜空を見上げることが増えた。

こんなに眩しく光るあの星々は何光年という遠い場所にある。


「沖田くんも、あんな遠いところにいるのかなぁ....」

もしいるのなら、どうか僕らを見守っていて欲しい

10/4/2024, 10:24:51 AM

《共に踊りましょう》
(刀剣乱舞/加州清光)


「今の世界が幸せとか不幸とか分かんないけど、例え地獄のような日々だったとしても、俺はその地獄の業火の上で踊ってやるんだよ」

加州はそう言うといたずらっ子のような笑みを浮かべる。

例えこの戦いに終わりなくても、心が折れるくらいなら

いっそ笑い飛ばして地獄の中で踊ってやるのだと。

「あるじは一緒に踊ってくれる?」


血のような赤い瞳に微笑まれ、審神者は何と答えたか。


貴方なら、なんと答えましたか?

10/3/2024, 11:45:30 AM


《いつかまた巡り会えるならば》
(刀剣乱舞/小夜左文字)


「やめろ!!」

あの日、自分の本体を見知らぬ盗賊に奪われ、斬り殺された女性と残った幼子。

手を伸ばしても掴むことが出来ず、この汚れた手に掴まれて持ち去られた自分自身。

その瞬間から、小夜左文字の心はどす黒い復讐の心に染まった。

けれども付喪神の力では、男を殺すことも出来ない。

「あの子に会いたい....」

あの時残された幼子を探しに出る事も出来ない。


心は荒むばかりで、真っ暗闇の中を歩いているような日々だった。


ただ。願うならば。叶うならば。

どうかまたあの子に会って、「ただいま」を言いたい。


「神か仏が見ているなら、どうかあの子とまた巡り会えるようにしてよ....」



これは【小夜左文字】が生まれる前の、名も無き左文字の短刀だった頃の記憶の話。

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