「風のいたずら」
春に吹く風は 暖かく こころ揺らす
夏に吹く風は 熱く 思いを強くさせる
秋に吹く風は ひんやり 戸惑う
冬に吹く風は 冷たく 遠い思い出
風は 時に強く 時に優しく寄り添う
気分が変わるのは 風のせい
風は時々 いたずらをする
遠い記憶を呼び起こし
涙を誘う
風にのって 高い空まで飛んでみたい
風にふかれて 気の向くままに
風はいたずら いつだって
わたしの回りをクルクルと
風は気まぐれ 気がつくと
いつのまにか もういない
紫翠
「そっと」
耳もとで 囁く声
唇に 触れる指先
細い肩を抱く腕
貴女を包みこむ そっと包みこむ
頬を伝わる涙
低いため息
長い髪が揺れて
貴女を包みこむ そっと包みこむ
眠るまで
深く深く眠りにつくまで
そっとしてあげよう
深く深く眠りにつくまで
そっとしてあげよう
紫翠
「あの夢のつづきを」
夢は もうみない
夢のつづきは みることができない
どんなに あの日みた夢のつづきを
みせてほしいと願っても
どうしても みたいと願っても
叶わない
夢は夢のままで
その時みた夢は
たとえば手のひらにのせていた淡雪
やがて儚く消えてしまう
そうして 記憶から 消えていく
夢のつづきは みることができない
夢は夢のままがいい
夢は儚いものだから
夢のままでいい
夢は夢のままでいい
夢は夢のままで。
紫翠
「未来への鍵」
鍵はどこにあるのかな
誰もが持っていないものなのか
鍵はどんな形をしているのかな
見つかりにくいものなのか
鍵は何処にでもあるのかな
誰もが持っているものなのか
鍵は大きいものなのかな
すぐに見つかるものなのか
想像してみよう
自分だけの鍵
未来への扉の鍵を
その鍵が
どんな形だったとしても
どんなにちいさな形だったとしても
自分だけの鍵じゃないか
たいせつにしよう
すぐに見つからなくても
焦ることはないんだ
それぞれの鍵
それぞれの時間
それぞれの未来
もしかしたら
気づいているのかもしれないね
鍵の在処を。
未来への鍵のことを。
紫翠