あの子は本が大好きだ
本屋で何時間もキラキラした目を棚に向けて実った果実を収穫するように手を伸ばす
ワクワクした顔をしたり難しそうな顔をしてたり見てるだけで笑えてくる
何時間もしゃがんで、立って、歩いて、背伸びして、帰る頃には足を引き攣らせて疲れた顔をして歩いている
なんか心配で「おんぶしようか?」「荷物持とうか?」とか言っても無理して頑張るの可愛くて、でも心配で
そんな君を見ていられたらどれほど幸せだったか
周りの緑が貴方を一層綺麗に見せつける
雨に濡れると化粧をしたのか、
煌めいているように見える
僕は貴方が綺麗じゃなくても煌めいていなくても
ずっと見ていたい
こんな簡単な言葉をあげれない僕は
君を見続ける事は叶わなかった
君の横にいることも
あじさい
あの子の事が気になった
「好きな食べ物は何?」「甘いものは好き?」
「休日何するの?」「趣味は?」
いろんな事が知りたくなって、
君のことが知りたくなって
いろんな事をやってみたくなって、
君と一緒にやってみたくて
いろんな思いが出てきて…
君の心を埋めるには足りなかったようだ
遅かったようだ
君は「もっといい人がいるよ」って言うけど
君の事をいっぱい知って、一緒にいろんな事やって、
君の色に、匂いに染まってしまったんだ
レンズに僕と君以外認識されないくらい。
だけど君の事をわかっているつもりになっていたみたい。
どうすればいいか教えて欲しいよ。
僕は、諦めて進めるほど強くないんだ。君みたいにね。
1年後でも10年後でも思い続けるよ。横に並んでくれていたあなたを。
最近あの子がLINEで学校のことを報告してくる
あの子とは中学生で同じクラスで仲良くなった
2年生の前半まで毎日のようにメッセージをくれてた
あの子に最近は自分から送っている
あの子が楽しそうに学校で起こったことを
話している時あの子は1、2年前のような
弾むようなメッセージを送ってくる
「野球部の男の子がね‥」「クラスの男の子がね‥」
そんな言葉ばかり脳内に潜り込んで逃げ出せずにいる
こんな惨めになるんだったら言わなければ
仲良くならなければ
話しかけなければ
感情なんて、
あの時の自分に向けてくれた笑顔も抜け出せずにいる
あの子に思いを告げたあの日
傘を指していても腰まで飛び散る強い雨が降り東から弱々しい風が吹いていた。
言葉を作っていくだけで心臓がお祭り状態だった。
音にするときはもっと騒いだ。
その子の目、口、仕草を見ているだけで微笑ましく、緊張して、焦った。
雨の中行くあても考えたらなしに定期券とスマホ、財布を持って電車に乗り込んだ。
傘と靴と服の前の方が濡れていて少し寒かった。
いや、気づかなかった。
心が海に沈んでいくような感覚が強まっていって何もわからなかった。
駅を降りてはただ歩き続けるだけ。
雨と風が強まっていき、傘はさしていても服も靴も髪も濡れていった。
涙が出ているのかすら分からないまま知らない場所を歩き続け
「自分がいなくなったら気にしてくれるかな?」
なんて言葉を雨が掠めて行った。
いつでも降り止まない雨