人の欲望が可視化したらどんなに楽しいのだろう。
あれが欲しいだのこれが欲しいだの
そんなちっちゃな欲望だけじゃない。
あの娘を奪ってやりたい。
この国を独占してやりたい。
あいつの絶望した顔が見たい。
欲望が大きくなればなるほど、
人は崩れていく。
どんなに偽善を振舞っている奴にも
欲望は存在する。
そんな心の奥に欲を隠し持っている奴を
俺は蔑んでやりたい。
遠くの街では
知らない人達が歩いていた。
知らない道路には知らない車が走る。
知らない池には知ってる太陽が反射している。
何故だか街の流れがゆっくりしている気がする。
少し歩けば、知らない道、角、店、家。
誰かにとっての日常は、
私にとっての非日常で、
自分の知っている街じゃないだけなのに、
何故こんなに感動するのだろう。
私は何度も何度も殺してきた。
小さな命をこの手で。
蟻の行列を踏み殺した。
蚊を叩き殺した。
命の大きさは違えど重さは同じだというのに。
とはいえ。
今更懺悔するつもりもない。
ただ許しを乞う訳でもない。
私は、殺してきた命共の呪いを背負って
今度は私が現実から解放される時が来るまで
生きていくつもりだ。
とある日の病床。
月は燦々と輝いている。
私は貴方の皺の寄った手を握りしめている。
私はこの手が健康的だった時から知っている。
貴方は言う "外を見てください"
"今夜はこんなに月が綺麗ですよ"
「あぁ。今夜は月が綺麗だ」
そう言うと貴方は少し笑う。
"それはそういう意味ですか?"
「そう受け取ってもらっても構わないよ」
貴方の目は少しずつ虚ろになる。
貴方の手は少しずつ冷たくなる。
貴方は最期に言う。
"最期くらい真っ直ぐに言ってくださいよ"
―――「愛してるよ。」
Love you
ベランダに二人。
街を見つめる。
君は太陽に照らされている。
「好きだよ。」
ふと口にする。
「どうしたの?」
君は笑顔でこちらを見ていた。
綺麗な虹彩、二重、鼻、口、眉。
目の前に二つ太陽があるようだ。
大好きだ。