カイ

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8/21/2023, 3:20:14 AM






さよならを言う前に、なんて、そんな時間は当たり前にあると思っていた。





貴方との「さよなら」は突然やって来た。

電話の音。

知らない人の声。


思っていたのと違った、貴方との「さよなら」。


伝えたかったこと、いっぱいあったのに。

ドラマやマンガみたいにはいかないんだね。




8/12/2023, 12:02:11 AM




麦わら帽子と

ひまわり畑と

入道雲と

君と。


遠い昔の夏の記憶。

8/10/2023, 11:43:44 AM




「終点、終点です」


単調な運転手の声が聞こえる。


「皆様、次の駅でお降りください」


そのアナウンスを聞きながら、私は流れていく窓の外を眺めていた。



どれだけ進んでも、田んぼ、田んぼ、田んぼ。


車両には私と、あともうひとりしか乗っていなかった。



いつも終点まで一緒の、幼なじみのルイ。



いつの間にか距離ができて気まずくなってしまった。


また昔みたいに、なんて思ったり。



電車が駅に着く。


私たちはそれぞれホームに降りた。


「ヨウ」


夏の暑さにうんざりしていると、名前を呼ばれた。


「ルイ?」


「あのさ、ずっと言いたかったことがあるんだけど」


ルイは髪の毛を弄りながら言った。



「ヨウのこと好き」



蝉の鳴き声がやけに大きく聞こえた。

夏の暑さのせいか、頬が火照っている。


「また、返事、よろしく」


ルイはそう言い、足早に改札を出ていってしまった。



「ほんと、昔から慌ただしい」


思わず頬が緩んだ。


8/10/2023, 6:16:36 AM




上手くいかなくたっていい。


ただその言葉をかけてほしかっただけなのに。



潮風が頬を撫でた。


「失敗って何なんだろう。」


私の問いかけは、波が崖にぶつかりくだける音にかき消された。



そんな問いも、今となってはどうだっていい。

だって今から私は人魚姫の様に海の泡になるんだから。



私が地面から足を離そうとしたその時。



「待って!」

そう叫ぶ声が聞こえた。


「待って、まだ、いかないで」


驚いて振り返ると、イツキが必死な顔でこちらに走ってきていた。


「上手くいかなくたっていいじゃん!」


だからいかないで、そう言ってイツキは私の腕を掴んだ。

地面にポタリと雫が落ちた。





はずだった。

途端に消えるイツキの手の感覚。


あれ、私、なにを見てたの?


そこにいたはずのイツキはいなくて。


全部、私の幻覚、



口から笑みが零れた。


私はそのまま暗い海の泡になった。