些細なことでも消極的に捉えてしまう自分がきらいだった。
でもきみと出会ったあの瞬間から、
どんな些細なことでも幸せを感じられるようになった。
自分をを少しでも好きになれたんだ。
そうやって私を変えてくれたきみにこの想いは伝わることはないけれど。
きみが好き。
─些細なことでも─ #53
心の灯火なんて、どこにあるの?
生きる意味なんてあるの?
灯火が尽きたその先で何を手に入れられるの?
そんな灯火なんて、いる?
そうやって心のどこかで白けた目で見つめていた。
だって、怖いだろう?
そのたったひとつの光が消えたら、どうやって生きていくの。
余計苦しくなるだけじゃないか。
だったら初めからそんなのなくていい。
ああ、だれか生きる意味をください。
生きていいって受け入れてよ、ねえ。
─心の灯火─ #52
好きになったのはいつからだろう。
幼馴染みと呼べる仲でもないけど、小さい頃からお互いを知っているから、お互いだけが自分のままでいられる場所なのだと思っている。
名前のつけられない関係。
この関係は心地よくも、辛くもある。
だってほら。
『俺、好きな奴いるんだけど』
で、始まっているライン。
最初だけそう書いてあるのははっきり分かってしまうから、なかなか開けないライン。
いつかくると思っていた。
お互いがなんでも話せるのはお互いだけ。
だからこんな話題もいつかくるだろうと。
でも、まだラインでよかったのかも、しれない。
直接相談されたりなんかしたら、どうしようもなく苦しくて辛いのを隠せる自信がない。
─開けないLINE─ #51
不完全な僕のまま、愛してくれた。
でも、不完全は不完全で。
結局は離れていった温かな体温。
あったものがなくなったという寂しさと、虚しさと、諦め。
最初からぜんぶ壊れるって分かっていたら、どれほどよかっただろう。
不完全なままじゃやっぱりだめでした。
不完全は不完全でした。
僕はいらない存在でした。
─不完全な僕─ #50
真夜中のコンビニは、どこか寂しいものを感じさせる。
と、人とすれ違ったときにふわっと香った、よく知っている香り。
思わず振り返った。
ばちっと視線があった。向こうもこっちを振り返っていたらしい。
「……やっと、また会えた」
夢でもいい。夢でもいいから、今は、今だけはこの夢から醒めないで。
─香水─ #49