今日はとても天気が良い。
夏の日差しと抜けるような青空。耳が痛くなるくらいのセミの鳴き声。
真上の太陽が色濃く影を作っている。
こんな日にはいつかの子どもの頃を思い出す。
さんざん走り回って疲れて日陰で涼んで、また走り回って。
この頃は今では考えられないくらい元気だった。
いやほんと。うらやましいくらいの体力である。
そういえば、あの頃は疲れたら山のふもとの神社に涼みに行っていた。
管理をしているおばあさんが、涼みに行くとよく飲み物やアイスをくれたのだ。
走り回ってへとへとな体にはよくしみた。
あのおばあさんは別のところに移ったのか、いつの頃からか会うことはなくなった。
代わりにたまに若い女の人や男の人を神社で見かけるようになった。
私も今では立ち寄ることはほぼない。
蝉の声は小さくなって日差しも弱くなってきた。
今なら外に出てもそこまで暑くはないだろう。
思い出したついでだ。久しぶりあの神社に遊びに行ってみようか。
【懐かしく思うこと】
じっ、と目の前の獲物を睨む。
すぐに襲いかかったりなどしない。逃げられないように、ゆっくりと準備を整える。
獲物はまだまだ気づいていないようだ。
ふふふ……さて今!
何?!
避けるだと!
くっええい!
よし!捕まえた!!!
「もー元気だな〜、ミーちゃんは」
猫じゃらしに熱中している小さな黒猫はまだまだ飽きないようである。
ずっと空を飛びたかった。
地面から離れてふわふわと。
高く高く飛んでいく風船みたいに空に行きたかった。
小さい頃、風船を見かけるといつもねだっていた。
買ってもらって、家に帰って、すぐに空へ飛ばしていた。
広い空へとだんだん小さくなっていく風船に、めいっぱい手を伸ばして、かかとを浮かす。
そうしたら、自分もきっと飛べるんだと思っていた。
風船にシャボン玉、紙飛行機。
暇さえあればいつも飛ばして遊んでいた。
空に向かって飛んでいくものが好きだった。
……どれも途中で飛べなくなってしまうけど。
今。
私は高い高いところにいる。
空を飛べないなら、せめて空の近くに行きたかった。
上を見上げて手を伸ばす。
そして、一歩。
ーーあぁ、私は今空を飛んでいる!