27(ツナ)

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6/12/2025, 11:02:26 AM

「I love」

幼い時から一緒に遊んでいた幼馴染の男の子がいる。
昔からお互いに冗談でよく「好きだ」と言い合ってふざけ合っていた。
小さい時から兄妹のように育って、家族のように思っていたけど、中学卒業と同時に告白された。
「昔から好きだった。これは冗談でも嘘でもない。Likeの好きじゃなくて、Loveの好き…なんだ。…あの、ただ伝えたかっただけだから。じゃ。」
思いがけない告白に私は戸惑い無言で彼の背を見送った。

次の日、彼は居なくなった。
引っ越すなんて、なんにも聞いてなかった。
私は後悔した。気づいた時には遅かった。私もずっとLoveの好きだったんだ。
彼が居なくなった家の前に佇んで、泣きながら呟いた。
「……すぐに、答えられなくてごめんね。私も好きだよ。Loveの好き!」

「…じゃあ、俺たち両思いってことで…いいんだな。」 
振り返ると居なくなったはずの彼がいた。
私は思わず彼の胸に飛び込んだ。

6/11/2025, 11:21:38 AM

「雨音に包まれて」

ひとり旅に出た。
普段からひとりであちこち回るのは好きだったが、宿をとって旅をするのは初めてだった。

宿に泊まった次の日、目を覚ますと外からザアザアザアと聞こえてくる。
あぁ、今日の予定は全てキャンセルだなと肩を落とす。
朝食を終え、部屋に戻ってボーッと空を眺めながら雨音に耳を傾ける。
いつしか、気持ちが安らいで仮眠してしまった。

こんなにゆっくり過ごしたのはいつぶりだろうか。
あいにくの雨だと思ったら幸せの雨だった。

6/10/2025, 10:37:34 AM

「美しい」

本当に美しいものを見た時、人は言葉を失う。

あなたはそんな経験があるだろうか?

どんな些細なことでもいい。
帰り際に見た夕日が美しかった。
あの人の横顔が美しかった。
雨上がりの虹が美しかった。
美術館のあの展示が美しかった。
あの本のあの言葉が美しかった。

その美しさに一瞬でも言葉を忘れ夢中になったのなら、それは素敵な経験だ。

ありきたりかもしれないけれど、何かに対して美しいと思える、あなたのその心が、いちばん"美しい"と私は思う。

6/9/2025, 11:16:10 AM

「どうしてこの世界は」

世界は平等で不公平だ。

この世界では、皆が平等に生命を与えられ、年老いて死んでいく。
だが、金持ちの家に生まれるか極貧の家に生まれるか、病や障害を患うか否かは人それぞれ不公平に与えられる。

どうしてこの世界は公平にならない?

それはみんなが公平になると不利になる人が出るから。

この世界の人間は、お互いを比べたがる。
アイツは俺よりも下。あの子は私より上。
上を見ては嫉妬して、下を見ては安堵する。
どうしてこの世界は……一体いつからこんなモノが蔓延る星になってしまったのだろうか。

6/8/2025, 11:18:56 AM

「君と歩いた道」

20年ぶりに地元に帰ってきた。
なんにもないけど、目の前には綺麗な海が広がる私の故郷。
高校を卒業して大学へ行くために私は都会へ出た。大好きな親友を、この地に残して。

急な坂を登って町全体が見下ろせる見晴らしのいい丘へ向かう。子供の頃から大好きだった君と歩いた道。
「久しぶりだね。会いに来たよ。…直ぐに来れなくてごめんね。子供の頃から好きだったお菓子買ってきたよ。」

丘の上にある墓地で親友の名前が刻まれた墓石に手を合わせた。

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