「sweet memories」
誰かを好きになって、告白して気持ちを伝える。
そんな当たり前のことを羨ましいと思う。
学生の頃、私には気になっている人がいた。
1人で静かに読書をしている姿を見ていると、なぜだか頬が暑くなり心が騒がしくなった。
3年間想いを寄せながらも、かなり奥手だった私は話しかけることすらできなかった。
それでも彼を想った3年間は今となっては良い思い出だった。
私にとっての「bittersweet memories」(甘酸っぱい思い出) だ。
「風と」
風と貴方。
私は風が強い日が嫌いだった。
服は乱れるし髪もぐちゃぐちゃ。
貴方が植物園へデートに誘ってくれた日、最悪なことに風の強い日だった。
あまりの風の強さに園内のカフェに避難することに。すると貴方は「ちょっと待ってて」と強風の中、外へ出た。
少しして戻ってきた貴方は身体中に花びらをくっつけていた。
「どうしたの!?」と聞くと、満面の笑みで
「風が俺をメイクアップしてくれた!君も外に出てメイクしてもらおう。」
なんて言い出した。
そんな貴方がなんかもう可笑しくて、私も小さな子供のように強風の中外に出てはしゃいだ。
どんなこともポジティブに変換できる貴方は、風のように颯爽と私に変化をもたらしてくれる。
「軌跡」
※3/8の「秘密の場所」から繋がるお話。
背丈と変わらないほど長く伸びた草むらに、一本の軌跡があった。
だが、草むらの手前には「キケン」や「立入禁止」の看板。
さて、どうしたものか。
いや、奇跡を信じて軌跡を辿ってみるか……。
しばらく歩くと辺りが開け、古びて今にも朽ちそうなレンガ造りの小屋のような建物があった。
なんだか、見覚えがあるような景色にしばらく立ち尽くしていた。
すると突然後ろから声をかけられた。
「もうとっくにおばあちゃんは亡くなって、ここは無人の廃墟。見ての通り崩壊寸前よ。」
昔よりも大人になり、よりミステリアスな雰囲気を纏う彼女がいた。
「ぁ…君は…魔女の。久しぶりだね。そうか。どうりで歳をとるものだな。ここに来るまで、すっかり昔のことを忘れていた。君は今どこに?」
「教えない。……ただ、私の軌跡を辿れば、またどこかで会えるかもね? それじゃあ。」
そう言って彼女は不敵に笑って草むらの陰に消えていった。
奇跡を信じて、また軌跡を辿るとするか。
「好きになれない、嫌いになれない」
あんたの時間にルーズなところが好きになれない。
君の母親みたいに口煩いところが好きになれない。
けど、あんたの事は嫌いになれない。
でも、君の事は嫌いになれない。
嫌いなところが1、2個あっても、好きなところがその倍以上ある。
好きになれない+嫌いになれない =愛。
「夜が明けた。」
少し早く目が覚めて、寝ぼけ眼で薄暗い暁の空を眺める。
徐々に辺りが白くひかりだして東の空から太陽が昇ってくる。
夜が明けた。
人の営みは日々忙しなく、あっという間に過ぎていく。
そんな忙しさとは裏腹に太陽が昇って沈んで夜が来て、夜が明けて、また太陽が昇る。
そんな不変的な空の動きを感じて、コーヒーで一息つく。