27(ツナ)

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「軌跡」
※3/8の「秘密の場所」から繋がるお話。


背丈と変わらないほど長く伸びた草むらに、一本の軌跡があった。

だが、草むらの手前には「キケン」や「立入禁止」の看板。
さて、どうしたものか。

いや、奇跡を信じて軌跡を辿ってみるか……。

しばらく歩くと辺りが開け、古びて今にも朽ちそうなレンガ造りの小屋のような建物があった。
なんだか、見覚えがあるような景色にしばらく立ち尽くしていた。
すると突然後ろから声をかけられた。

「もうとっくにおばあちゃんは亡くなって、ここは無人の廃墟。見ての通り崩壊寸前よ。」
昔よりも大人になり、よりミステリアスな雰囲気を纏う彼女がいた。

「ぁ…君は…魔女の。久しぶりだね。そうか。どうりで歳をとるものだな。ここに来るまで、すっかり昔のことを忘れていた。君は今どこに?」

「教えない。……ただ、私の軌跡を辿れば、またどこかで会えるかもね? それじゃあ。」

そう言って彼女は不敵に笑って草むらの陰に消えていった。

奇跡を信じて、また軌跡を辿るとするか。


4/30/2025, 12:25:04 PM