あなたは、雨のなかで立っている。
ぬれてしまって、
さむくて、ふるえてる。
かたをふるわせて、
雨がほっぺたを伝って落ちていく
雨よ、雨。
どうぞ止んでおくれ。
わたしは、かさなどもっておりませんから、
あなたにさしてあげられないのです。
日記を書こうとすると、
いっとう、素敵な言葉で書きたくなる。
悩んで、悩んで。
思いつかなくて、諦める。
選んだ手帳もまっしろのまま
せっかく残すなら、
嫌な気持ちじゃなくて
嬉しかったことを残したい。
そんなことを考えて、
今日も増えるのは落ちたインクの染みだけ
目を合わせて
視線を絡ませて
お互いに向き合ってるはずなのに
心だけが正反対を向いている
不毛だね。
寂しいね。
でも、お互いに強情だから、
ずっとこのままなんだろうね。
喜んでもらいたくて、
笑ってほしくて、
わたしを見てほしくて。
でも、わたしのせいで全部壊れた
城は陥落し、國は落ちていった
玉座の似合う人
あなたの治める國は美しかった
けれど、あなたがいなくなった國は
とても汚くて、恐ろしくて、
居たくなかったの
あなたをたすけられなくてごめんなさい
なにもできなくてごめんなさい
すてきなどれすをもらったのに、
ちでよごしてしまって、ごめんなさい
逃げ出したくなったとき、
何故か海へ行きたくなるの
ひどく深い青い海に呑まれて
誰もいない海の底に沈んでしまいたい
時を超えて、時代を超えて
原初の海にさえ帰ってしまいたい
そんなことを考えて、
逃げたふりをしている