舞踏会なんて、興味なかった。
でも、友達が行きたいとねだるから。
少し見て友達には内緒で帰ろうと思っている。
どうせ私は邪魔だから。
引き立て役にもなれないから。
舞踏会の会場に着いて数分、舞踏会が始まった。
人がどわっと入る。
私は友達がはぐれないように友達のすぐ近くを歩いていた。
ここからはAとでも呼ぼうか。
Aは会場に入った瞬間、大はしゃぎだった。
私はご馳走の前でホコリが立たないようにAを注意しながら歩いていた。
たまにはこんなのもいいのかもしれない。
Aがはしゃぎすぎて転んだり、Aが見ず知らずの人に口説かれ踊ろうと誘われたり。
舞踏会が始まって恐らく数十分が経っただろう。
私は中で大はしゃぎのAを置いて会場から見える海を眺めていた。
ちょうどその上には月が浮かんでいた。
綺麗な景色だった。
「どうしたんですか?舞踏会の会場は中ですよ。」
すると、背丈の高い男の人が私に話し掛けてきた。
「あ⋯友達が楽しそうなので、邪魔してはいけないと思って。」
私がそういうと男の人は不思議に思いながら言った。
「きっと、お友達さんはあなたが邪魔だと思っていたら楽しそうにしていないと思いますよ。」
「何せ、舞踏会はここにいる全員が物語の主役なんですから。」
そういうと男の人は私の手を取っていった。
「こんな事言うのも何ですが⋯
私と踊りませんか?」
2022/10/04
お題:踊りませんか?
あの日、君と出会えた。
君と出会えたら、君に伝えたいことがあったんだ。
すると、君は私に向かって叫んだ。
「好き!○○が!」
私の言いたかったこと。
私も、とこくりと頷いたけど、君は分からなそうだった。
だから、私も君に向かって叫んだ。
「私も、○×が────!」
すると、目が覚めてしまった。
夢だったんだ、と複雑な気持ちになる。
奇跡なんて、神様なんて、信じていなかった。
これは、奇跡なの?
それとも、神様の悪戯?
──それでも、それでもいい。
もう一回だけ、会わせてよ。
あの人に。
私は、二人で撮った記念写真を手にして呟いた。
「大好きだよ。」
2022/10/02
お題:奇跡をもう一度
わたしが欲しいものは何だろう。
女の子らしくコスメ?それともわたしの大好きなアーティストのCD?
違う。そんな物なんかじゃない。
わたしが欲しいものは、形の見えない、形を持たないもの。
愛だ。
それはなぜなのか。
わたしは恵まれていても愛されなかった。
家には十分な設備もあるし、温かいご飯やふかふかとしたベッドだってある。
でも、親からの愛はなかった。
わたしは、いつからか親を真似るようになってしまった。
周りに冷たくし、周りに冷たくされた。
それだから彼氏なんて出来っこなかった。
でも、わたしは今素のわたしを愛してくれる人が居る。
そう、彼氏が出来たのだ。
この感情に気づいたのも、愛するあの人が居てくれたから。
愛されたいと思えたのも、あの人が居てくれたから。
生きていてくれたから。
だから、わたしはこれからあの人を愛し、あの人に愛されたい。
これから、わたしのこれまでの人生になかったものをこれからの人生で沢山手に入れていく。
これが、わたしの欲しいものだ。
2022/09/24
お題:形の無いもの
少し経つと、聞こえてきた。
明るい君の声が。
私を呼んでくれている。
わたしは君の声が大好きだ。
今日も君の声を聞けることが幸せだ。
「○○〜?どうした?」
これが恋なら、叶わないだろう。
でも、今はその声を聞いていたいから。
「はい、ごめんね。」
今日も、明日も、明後日も。
同じ日常を繰り返す。
君の声が、聞こえなくなるまで。
2022/09/23
お題:声が聞こえる
私は秋が好き。
秋が来たら、君と出会えるから。
あの紅葉の下で、また出会えるから。
今日こそ伝えるんだ。
君の事、ずっと好きだったって。
また、君は紅葉の下にいた。
でも、今日はなんだかソワソワしている。
どうしたの、と話しかけたら君は私の方を向いて言った。
「僕と⋯付き合って下さい。」
2022/09/21
お題:秋恋