彩葉

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舞踏会なんて、興味なかった。
でも、友達が行きたいとねだるから。
少し見て友達には内緒で帰ろうと思っている。
どうせ私は邪魔だから。
引き立て役にもなれないから。

舞踏会の会場に着いて数分、舞踏会が始まった。
人がどわっと入る。
私は友達がはぐれないように友達のすぐ近くを歩いていた。
ここからはAとでも呼ぼうか。
Aは会場に入った瞬間、大はしゃぎだった。
私はご馳走の前でホコリが立たないようにAを注意しながら歩いていた。
たまにはこんなのもいいのかもしれない。
Aがはしゃぎすぎて転んだり、Aが見ず知らずの人に口説かれ踊ろうと誘われたり。

舞踏会が始まって恐らく数十分が経っただろう。
私は中で大はしゃぎのAを置いて会場から見える海を眺めていた。
ちょうどその上には月が浮かんでいた。
綺麗な景色だった。

「どうしたんですか?舞踏会の会場は中ですよ。」
すると、背丈の高い男の人が私に話し掛けてきた。
「あ⋯友達が楽しそうなので、邪魔してはいけないと思って。」
私がそういうと男の人は不思議に思いながら言った。
「きっと、お友達さんはあなたが邪魔だと思っていたら楽しそうにしていないと思いますよ。」
「何せ、舞踏会はここにいる全員が物語の主役なんですから。」
そういうと男の人は私の手を取っていった。
「こんな事言うのも何ですが⋯

私と踊りませんか?」



2022/10/04
お題:踊りませんか?

10/4/2022, 12:50:36 PM