「20歳」
ハタチになれば、大人になれると思ってた。
大人として振る舞うしかないことは増えても、
ハタチまでに自分が憧れた大人になれていない。
お酒もタバコも嗜んだけど、
それで大人になれるわけじゃない。
大人ってなんだ?子どもってなんだ?
きっと、境目なんてない。
どこまでいっても
ひとりひとり違う人間なんだから、
子どもでいられなくなる日も、
大人になる瞬間も、
人それぞれだろうな。
「三日月」
雲間に隠れる三日月を見ると、
遥か昔の文しかないような時代を想う。
なんでかはわからないけど、
空を見上げて何かを想うのは心地よい。
「色とりどり」
色とりどりの花束を持ったスーツの男性たちが
成人式の会場に向かって歩道橋を一列で歩いてた。
きっと、彼女さんか好きな子に渡すんだろうなぁ。
と、成人式から何年も経った私は微笑ましく思った。
彼氏なしの私にはそんな甘いことはなく…
友達の彼氏さんが迎えにきてくれるのを、
羨ましく、さみしく、見送るだけだった。
今も花束をくれる彼氏はいないが、さみしくない。
今度自分で自分に好きな花を一輪買ってみようかな。
「雪」
雪を見ると高校のときの彼女を思い出す。
高校2年のときに引っ越してきた彼女。
すごく目立つようなタイプじゃなかったけど、
誰に対してもすごく優しくて、
いつも微笑んでるけど本気で笑ったときの
無邪気な笑顔が俺は大好きだった。
都会からきた彼女が雪を見て「…綺麗」って言った
その横顔があまりに可愛くて。
「でも、都会の夜景には叶わんやろ?」
と、ドキドキを隠して笑っていった。
そしたら、彼女は振り返り微笑んで、
「んー。どうだろ?
きっと、はじめて夜景見たら感動すると思うよ。
その時は、光の先にあるたくさんの暮らしを想像して。
でも、今目の前にあるのは、
この誰にも踏まれてない一面の雪だよ?
今ここを楽しまなきゃ損だよ!」
と言って、俺の手を掴んで雪道を駆け出した。
そのときの彼女の笑顔が忘れられない。
と、いう話を今隣にいる妻にしたらきっと
「そんなこともあったね」って
俺の大好きな笑顔で笑ってくれるだろう。
「君と一緒に」
ずっと隣りにいてくれた大切な人。
辛いときも、楽しいときも、いつも一緒だった。
もう顔を見れなくなって長い時間が過ぎた。
それでも、一生私の大事な人。