佐倉光潤

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「雪」

雪を見ると高校のときの彼女を思い出す。

高校2年のときに引っ越してきた彼女。

すごく目立つようなタイプじゃなかったけど、

誰に対してもすごく優しくて、

いつも微笑んでるけど本気で笑ったときの

無邪気な笑顔が俺は大好きだった。

都会からきた彼女が雪を見て「…綺麗」って言った

その横顔があまりに可愛くて。

「でも、都会の夜景には叶わんやろ?」

と、ドキドキを隠して笑っていった。

そしたら、彼女は振り返り微笑んで、

「んー。どうだろ?

きっと、はじめて夜景見たら感動すると思うよ。

その時は、光の先にあるたくさんの暮らしを想像して。

でも、今目の前にあるのは、

この誰にも踏まれてない一面の雪だよ?

今ここを楽しまなきゃ損だよ!」

と言って、俺の手を掴んで雪道を駆け出した。

そのときの彼女の笑顔が忘れられない。



と、いう話を今隣にいる妻にしたらきっと

「そんなこともあったね」って

俺の大好きな笑顔で笑ってくれるだろう。

1/7/2024, 1:25:40 PM