向かい合わせ_67
君と向かいの席に座って
君の顔をみて
君だけに向けた笑顔で話す。
でも君は
私と向かいの席に座って
少し遠くのあの子を見つけ
遠い目をして話す。
おねがい。
何かの手違いで
あの子に向けるはずだった笑顔を
見せてくれない、?
私の名前_66
私の名前を間違えなかったのは
君だけだった。
ほんの些細なことで気負いしすぎたり
プレッシャーを感じたりするけど、
そんな時に大丈夫って言ってくれる存在が
本当に大切で好きだと思っていた。
その存在は紛れもなく君であって
偽りなんてなかった。
でも、私は心から誓うと決めたことがある。
ずっとはないってこと。
ずっと大好きとか、ずっと一緒だとか
絶対そんなことない。
ずっとは信じたいけど、
君が思うよりも私は遥かに優しい人じゃない。
それに独占も依存もする。
だから、そう簡単に
大好きって言わないでよ
好きって言わないでよ
期待させないでよ
落ち込まないでよ
心配しないでよ。
でも、もう手遅れなんだって
わかってる。
だって名前を間違えなかった君は
唯一私を見てくれていた気がするから。
終わりにしよう_65
毎日LINEなんかしちゃって、
期待が高まるのは当然だろうに。
毎日優しすぎるくらいに見つめちゃって、
胸の鼓動が高まるのは必然だろうに。
ねぇ。
いつになったら気がつくの。
ねぇ。
好きだから、大好きが溢れちゃうから。
早くこの距離感をどうにかして。
私の当たり前_64
私には、小学生の頃から飽きるほどいつも一緒にいる友達がいた。彼女は何をするにも明るくてパワフルで、まさに太陽みたいな存在。毎日毎朝、同じ時間に「おはよー。課題やばくない?」といった決まり文句から一日が始まり、「またね」とお互い笑顔で終わる。これは誰がなんと言おうと、私たちの伝統だ。しかし、それもある夏の日、熱中症で彼女が学校を早退した日だけは受け継がれなかった。朝は何気なく見えていた白い雲や青空も、帰る頃には桃色の茜空へと変わっていた。絶対同じ空模様とは限らないが、私はこの空の下「またね」と交わしたい。そう心の底から思った。寂しさが混じり、変わらない通学路を通るにもペダルが重く感じて漕ぎにくい。当たり前だと思っていたことも、失うときは不意で一瞬だ。だから私はまた明日、いや明日から、私たちの伝統をこの大きく広がる空の下で受け継ぎ続けよう。この茜空にまた会えることを願って、「またね」。
七夕_63
キミが彦星で
ワタシが織姫なのは少し違う気がする。
だって、一年に一度しか会えない
っていう縛りを無造作に付けられて、
知りもしない人の願いを叶えられるのを
見送りながらキミと会う時間は
ほんのわずかしかないんでしょ?
意味がわからないわ。
それに短冊に書かれる願いなんて
半分くらい恋愛ものでしょう。
それならばワタシは来年から、
下の世界でもいいから短冊に願いを書いて
夏らしいことをして、のんびり暮らしたいわ。