恋物語_54
初めて貴方と2人きりになれたのは
友達が目配せをして
笑顔で帰ってくれたから。
一生懸命、大きな背中を追って
ベンチに座った。
貴方の優しい眼差しに、また心が奪われる。
一番趣味が合うのは君だな
なんて、冗談で言わないでよね。
余計に意識しちゃうじゃん。
いつもの少し毒舌なところも、
私の前では優しすぎる言葉なのが
また彼のことを好きにさせる。
今度こそ、アイス奢ってよね。
愛があれば何でもできる?_53
そんなわけなかろう。
私は何も出来ていないじゃないか。
愛はあっても一方的なものであれば
無駄だ。
風邪で休んだであろう日に
心配の一言も言ってあげられなかった。
さらにいえば、
風邪かも確信が持てていない時点で
私が弱い者であると言うことであろう。
だから、もし勇敢で強い者であって
愛があれば何でも出来ると叫ぶ奴の横で
自分は…と落胆していたら
私を思い出して欲しい。
そして、私の弱さを笑ってくれ。
子供のままで_52
頭を撫でて、
目線を合わせるためにしゃがんで、
優しく微笑んだ貴方は今、
どうしてしまったの。
私が大学生になろうとしているから?
私のことが好きではなくなったから?
勿論、身長はあの時より高くなったし、
しゃがむ必要は、ありもしない。
だけども、私は大きな貴方の手をもう一度
感じたかった。
空っぽで、
何をしようも孤独な大人になる前に。
愛を叫ぶ。_51
君の横顔に「好き」と囁く。
雀の涙よりも小さな自信が
叫びたい心をひたすらに抑えた。
「逃げても無駄だよ」
と言われたかのように
しばらくその場から動けなかった。
それはまた、私に
愛を叫ばさせようとした。
明日世界が終わるなら_50
恥ずかしながら、私は匂いフェチだ。
だからと言って、普段から
くんくんと嗅ぎ回る訳にもいかない。
明日世界が終わるなら
とお題で見た瞬間、これしかないと思った。
あの人を抱きしめて、ひたすらに嗅ぎたい。
いや。文面は相当ヤバい奴になる。
というより、文面どころか
全てにおいて変態である。
だが、実際
それくらい安心感のある匂いのする
あの人は魅力的なのだ。
誰も、欲には勝てないものであろう。