美しい_21
お初にお目にかかります 王子様。
どうか そんなお顔に
なさらないでください。
儚くも美しいお顔が 乱れてしまいます。
どこぞの宝石よりも輝かしい瞳
とても美しいことでございます。
ああ こんな姿では
言葉ですら届きませんね。
貴方様が 一緒に見たいとおっしゃった夢
それも叶えられず 申しわけなく思います。
ですが 此処でお目にかかれたこと
とても 嬉しく思います。
また会いに来てくださること
楽しみに待ち望んでおります。
空の上の星より。
この世界は_20
僕は守られていた。
だから 僕の世界は狭かった。
王子様だとして扱われ 何をするにも
周りには複数の大人たちがいた。
行ってきます と一つ言葉にすると
行ってらっしゃいませ と八つ返ってくる。
そんな僕にも 好きな子はいた。
父にいくら
あの子の家は 家政婦はいないほど…
と言われようとも
金銭面など 人の良さには直接繋がらない。
その子は
どの大人よりも可愛らしく
どの大人よりも優しかった。
そして あの子と一緒に暮らせる未来なら
僕は幸せになれると思った。
あの子の世界に入られるのなら
僕は この狭くて 苦しい世界から
解放されるのだろうと。
どうして_19
私は“君と”夜空に浮かぶ星を
眺めたかったんだ。
それなのに
どうして “君は”星になったんだ。
夢を見てたい_18
“思ひつつ 寝ればや 人の見えつらむ
夢と知りせば さめざらましを”
いつ どの時代も
夢には 自分の欲が出てしまうものである。
ずっとこのまま_17
ある時 私は教授になった。
ある時 俺は優等生になった。
ある時 僕は虫になった。
恋をして 青春を謳歌して 空を飛んだ。
苦しくて 辛くて 楽しくて
気持ち良くて 嬉しくて たまらなかった。
だが それも表面的なものであることには
変わりなかった。
あの世界に入り込んでいる時だけ
その時だけは 何にも縛られずに済んだ。
時間だけは止まらずに進む現実。
それが余計に私を苦しめた。
だから ずっとこのまま
本の中に閉じこもって
現実から目を背けていたい。