この世界は_20
僕は守られていた。
だから 僕の世界は狭かった。
王子様だとして扱われ 何をするにも
周りには複数の大人たちがいた。
行ってきます と一つ言葉にすると
行ってらっしゃいませ と八つ返ってくる。
そんな僕にも 好きな子はいた。
父にいくら
あの子の家は 家政婦はいないほど…
と言われようとも
金銭面など 人の良さには直接繋がらない。
その子は
どの大人よりも可愛らしく
どの大人よりも優しかった。
そして あの子と一緒に暮らせる未来なら
僕は幸せになれると思った。
あの子の世界に入られるのなら
僕は この狭くて 苦しい世界から
解放されるのだろうと。
1/15/2024, 9:21:12 PM