暗い、どこまでも暗い闇のような夢を抜けた先に、温かい朝のぬくもりを感じて、ボクは目覚めた。
その度にホッとする。なぜなら、ボクが見る夢は、いつも凄惨なものばかりだからだ。
そこから目を覚ました時の安心感は筆舌し難い。
さて、今日も一日中頑張るか!
人生の岐路、岐路なんて、生きてる間に何度も発生する、その度に決断をしなきゃならない。
それで、「あの時あーすれば良かった」と嘆く事が多いが、その選択肢を選んだのは自分ではなく、無意識が選んだ事であり、そこに自由意志は無いらしい。
それを知った時「マジか」とは思ったが、無意識の目的は『自己保存』らしく、要するに、自分を守る為に選んだ結果らしい。
なので、もしも岐路で自分が望まない選択肢を選んだなら、自分を守ってくれた無意識くんに感謝すれば良いのでは? とは思ったが「そんなの納得できるか!」と言う人が居るだろうし、かつてのボクもそうだ。
まぁ、そう言う時は、一度立ち止まって深呼吸して落ち着きましょう。焦るより落ち着いた時の選択肢は、きっと最良になると思いますので。
後数分で、世界は巨大隕石によって消滅する。
そんな中、ボクは必死に走った。
例え世界が終わるのだとしても、この気持ちを君に伝える前に消えたくない。
ボクは肩で息をしながら、丘の上から、世界を滅ぼす炎の塊を見ている少女に向かって言った。
「ごめん! ずっと君のそばに居たのに、君に伝えたい事が今まで言えなかった!」
ボクの声に反応して、少女はこちらを見た。
「どうしたの? どうせ世界が終わるのに……」
「……そうだとしても、最後の瞬間まで、君と一緒に居たい、何故なら……君が……君の事がずっと好きだったからだ!!」
やっと言えた。どうして、もっと早く言えなかったのだろうか?
すると、少女はクスッと笑って、笑顔で答えた。
「遅すぎるよ」
「ごめん、待たせて」
ボクは、少女の隣に並び、空から迫り来る巨石を一緒に眺めた。
「あーあ、君がもっと早く言ってくれれば、私は最高の彼女として最高のデートしてたのに」
「はは、だからさ、もしも天国があるなら、そこで一緒にデートして、結婚して、そして幸せになろうよ」
ボクと少女は、世界が終わる瞬間まで手を握り合った。
「絶対に幸せにしてよね。しなかったら地獄に蹴り落とすから」
「あぁ、絶対だ」
こうして、世界は消滅した。その後、この若い二人が天国に行けたのか、はたまた人類が天国と言う理想郷に行けたかは、誰も知る事ができないことだろう。
最悪だ。悪夢を見たからだ。そのせいで、今日一日中ずーと最悪な気分になった。
人間の姿をしたバケモノが群れを成して襲って来た。正直怖かった。
本当に最悪な夢見だった。